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教育基本法改正案がもつ問題点について、そのねらいに迫る [2006年12月5日(火)] |
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教育基本法に関する特別委員会で4回目の質疑 |
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政府提案による教育基本法改正案の参議院特別委員会の審議は、11月22日から連日のように開かれ参考人質疑並びに地方公聴会を除き前日まで7回行われています。
これまで11月30日にタウンミーティング、いじめ、未履修問題の集中審議が行われたように、教育基本法改正案の審議よりもそれ以前の教育をめぐる問題点の解明に時間が費やされています。従って、法案のねらい、各条解釈の問題点などはほとんど行われていません。
私自身、12月5日で4回目の質問ですが、これまではいじめ問題や未履修問題で政府の姿勢を質してきました。今回、質問するにあたり最も基本的な問題である憲法と教育基本法の関係に重点を置き、伊吹文部科学大臣と一問一答方式で質疑を行いました。弱点を衝かれたのか大臣はまともに答えていません。憲法問題でもあり塩崎官房長官に対しても質問を行いました。
最初に日本教育学会から届けられた教育基本法改正案に対する「見解と要望」などを紹介し、文部科学省の法案審議や施策遂行にあたって、こうした有識者や専門家の意見反映の仕方、ILO、ユネスコも勧告をふまえた対応を求めました。また、日本女性学会14期幹事会からの緊急声明―男女共学規定の削除は教育分野における男女平等の根幹を揺るがすものである―を紹介し、伊吹大臣に高等教育進学率における男女間格差、後期中等教育及び高等教育での専攻分野における男女比率のアンバランスなどの課題がある中で、男女共学を定めた5条削除について、法的妥当性があるのかを質しました。伊吹大臣からは、機会の平等は保障されているので問題はない、差別があるなら具体的に例示をしてくれれば、と答えるだけでした。
教育基本法の改正案がなぜ提案されたのか、これは衆議院段階でも大きな争点になってきました。小坂前文部科学大臣は、今日的教育問題が起きている原因が教育基本法のせいにすることは出来ない、と答え、60年の時代の変化を理由にしています。伊吹大臣も同じような基調をふまえながら、法に書かれざる規範、伝統的な文化の中から出てきた規範のようなものを大切に教えられる教育基本法にしていく、とナショナリズムの高揚に結び付けようとしています。安倍総理大臣は官房長官時代に、教育基本法改正と憲法改正は自民党の結党時の精神で、60年たって現在決意を持って改正に望んでいる、と占領下に制定されたから改正が必要と憲法改正と同じ構造に立っていることを明らかにしています。教育基本法は準憲法に位置づけられていることから、憲法との関連を常に考えることが必要です。
私は、「政府案を作成する段階で、現行憲法はもちろん、自民党の憲法草案との整合性も一応チェックして、教育基本法の法案を提出している、と答弁している。政府案は自民党の新憲法草案との整合性をチェックしたという事実があるのか。」問い質しました。
伊吹大臣は「国会に提出する限り、当然、現行憲法との整合性をチェックする。しかし同時に、一応自民党の憲法草案との間の整合性はチェックしている。」と答えました。加えて「(政府法案の)原案は文部科学省が作成している。その原案の基本になっているのが公明党と自民党の与党協議で出てきた案。その各々の場面で、文部科学省も、そして自民党、公明党の与党協議会も自民党案との整合性はチェックしている。」と言います。
思わず私は「これは大問題である、政府案は内閣が閣法として提出する、当然現行憲法の枠内で行われるべきである。一つの政党の草案、憲法草案と整合性を図るということは、これは政府としてやってはいけない行為ではないか。」と問い、伊吹大臣からは重ねて「それは全く違う。現行憲法との整合性と同時に、念のために自民党の案との間の整合性があるかどうかというのは、チェックするのは立法者としては当然のこと。」と答弁しました。
塩崎官房長官も「与党なので、与党と全く違うことを書いてあるような法律を出すというのも余り格好いい話ではない、それはきちっと見るというのが常識的な判断」と、伊吹大臣の答弁を追認しました。
私は今回の質問の意図するところを「自民党憲法草案は、現行憲法を尊重する立場にはない。大きく立場が違う内容になっていると思う。」として具体的に「自衛軍を創設するとか、それから、現行では基調になっている個人の尊重、尊厳よりも、国家主義、公の秩序を維持するというような、理念が大転換するような憲法草案と整合性をチェックしてやるということについて、私はこれは非常に、現行憲法に基づいてやらなければいけない法律改正についてこういうやり方は大きな問題がある」と指摘しました。
問題は、単なる与党との調整ではなく、現憲法の理念を根本から覆そうとする自民党の新憲法草案との調整、だから問題にしたのです。憲法99条「憲法遵守義務違反」のおそれがあります。特に新憲法草案では、12条で、新たに国民の「責務」として「公益及び公の秩序維持」を盛り込み、さらに、自衛軍の創設、軍事裁判所の設置、政教分離の緩和、憲法改正要件の緩和など多くの問題を抱えています。そうした法案と整合性があるということは現憲法に反するのではないか、これを当然とする今の安倍内閣の体質を看過することはできません。
政府案は現行法第10条の条文が第16条に変更され「国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである」が削除され、それに変わって「この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、…」となっています。現在の教育委員会制度は、後段の「国民全体に対し…」を根拠に教育の政治的中立性の確保を基本に確立されたものですが、この部分の議論がされていないことからこの問題について伊吹大臣の見解を質しました。しかし答弁は今までの繰り返しで、「立法技術」の問題であるとして理念法である教育基本法より下位法を重視した姿勢がみてとれます。
教育委員会制度の根拠を理念法の教育基本法にある、との答弁は、全く答えになっていません。理念法である教育基本法と下位法である教育委員会制度を定めている地教行法との関係を質問したにも拘らず、大臣答弁は理念法になくても下位法に根拠があれば問題ない、としています。今、教育委員会の見直し、「教育委員会無用論」が声高に起きている中で、教育行政のトップとしては説得力のない発言です。これで地方は、政治的中立性のもと安心して教育行政を進めることができるのでしょうか。教育委員会の廃止が文部科学省の見直しにつながることを伊吹大臣は認識すべきです。
憲法と教育基本法との関係を考える上で重要なことは、共通の基本原理になっている「個人の尊厳」を、法を適用する場面で、どう具体化させるかということです。
先ほど紹介しました自民党の改憲をめざす新憲法草案では、憲法によって国民の権利保障を図るとともに、国家権力が権力を濫用しないようその行使を制限することを目的とする「立憲主義」が形骸化する「公益及び公の秩序維持」を人権条項に位置づけています。その草案を国会に提出した教育基本法改正案と照合しているだけに、教育基本法の「個人の尊厳」の扱いが現憲法から遠ざかることが予測されます。そして、教育基本法の改正を既成事実化し、憲法改正へと結び付けたいとする考えが見え隠れするだけに、政府案の目的と目標との関係で現行法第1条「個人の尊重をたっとび」にポイントを置き、伊吹大臣の考え方を問い質しました。
私は「これまで心にかかわるところは評価しないといが、具体的に教育の目標で必要な資質として法律の中に規定されたことが、これからどのように関連する下位法の中に表現されてくるのか、具体的には学習指導要領、それに基づいて今度は指導要録、具体的に今、行動の記録としてあるがそこの評価はどうなるのか、というようなことについても国民の皆さんは、多くはこの規定が内心にまで踏み込んでいくのではないかという、懸念を持っている。」違憲立法の疑いすら指摘されており、今後に質問をさせていただくとして質問を終えました。
以上12月5日の特別委員会で質問したことは、国の統治、教育の基本にかかわる問題だけにもっと掘り下げ、政府の姿勢とともに、伊吹文部科学大臣の考え方に対し追及しなければならないことを実感しています。この改正のよって教育の中味が、学校現場がどう変わってしまうのか、まだまだ追及しなければならない課題についての審議が十分に行われていません。12月15日が臨時国会の会期末で会期延長の動きも出ています。予断を許しませんが、12月5日の質問のときに表明したように残された問題について引き続き追及したいと考えています。
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