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未履修問題をめぐり、伊吹文科大臣の考え方を質す [2006年11月30日(木)] |
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教育基本法特別委員会、集中審議で質問 |
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参議院では11月30日(木)、いじめ、未履修問題、タウンミーティングなどについて、集中審議が行われました。私は未履修問題を中心に伊吹文部科学大臣に対して質疑を行いました。
私は冒頭、委員総数35名中、最も少ないときには6、7人しか出席していない中での特別委員会に、その持ちかたについて異議をとなえました。こうした状況のもとで、国家百年の計と言われる教育の基本法である教育基本法の審議が行われていること。衆議院は105時間やったから、参議院は70時間でいいと、出口を決める、そのような運営で憲法に準じる教育基本法が決められて良いものなのか、と怒りをあらわに厳しく指摘しました。
未履修問題にあたっては、これまで未履修学校の実態をふまえそこでの問題点が論議されてきました。
政府側の議論は、教育基本法改正の理由に規範意識の希薄化が叫ばれ、その象徴の一つとして未履修問題がある。そしてその責任について、伊吹大臣は、「今回の未履修の最終的な決定権や卒業認定の権限を持つのは誰なのかを考えると、おのずから責任の所在は明らかになる」と、最終的な責任は各学校長にあり、あとは大学入試との関連で、高校教育の在り方などが議論されてきました。
私はこれで問題の根本的解決になるのか、疑問を持っていました。
そこで未履修問題について、今回のような表面上の解決を急ぐ救済策だけでは、今後も未履修が起きてくるのではないか、根本的な議論が必要との立場で次のような問題を提起しました。
それは何かというと、これまでの政府答弁は高校を「選抜されて進学してきた子どもが学ぶ場」という認識に立ち、卒業要件も大学と同じように習得単位制を採用していることを前提に議論がすすんでいます。
しかし、実態としては、高校進学率がほぼ98%と言われ、実質的には中卒者全員が高校に入学しています。高校がほぼ全入化しているのです。にもかかわらず国は相変らず実態に目を向けず、建前上の制度を維持しています。今回の未履修問題が起きた高校の多くは、いわゆる「進学校」であり、一方いわゆる「教育困難校」も大きな課題を抱えている。こうした現実を見据えて高校教育全体のあり方を抜本的に見直さなければ、政府の収拾策では解決にならず、より深刻になるとの問題意識です。
私は具体的に次のように質問しました。
(1)高校の現場では、例えば、基礎的な掛け算を全部覚えていないというような子どもさんを受け入れている。子どもたちに基礎的学力を付けるためにどういう授業をしているか。数学基礎や数-Iの時間を使って掛け算や、中学校で習うべき一次方程式とか、そういうことを一生懸命教えている。文部科学省はこういう実態をどう把握しているのか。
<政府答弁>
高等学校教育については、教育課程実施状況調査というものを実施している。科目によっては非常に子どもの成績にばらつきがあるという状況も出ている。基本的に高等学校の教科・科目の構成については、必履修科目はできるだけ単位数を減じて、そして各学校の選択の幅を広げていくということで、ここ数回、指導要領の改訂のたびに実施をしてきた。各高校では、それぞれの生徒の実態等に応じて、いろいろな科目を開設し、基礎的な学力の補充、充実に取り組んでいる。
(2)大臣は、未履修を校長の規範意識の欠如と見ているが、例えば、数学基礎の時間に小中学校で履修していなければならないことを教えざるを得ないとりくみについて、形式的には授業名称が数学基礎とか数-Iになっていればそれは数学の単位として取り扱うのか。それとも未履修となるのか。
<伊吹・文部科学大臣答弁>
今提起された実態というのがどの程度あって、どこでそういうことが起こっているのか。もしそれが全国的なことであれば、これはやはり今の学習指導要領というものが意味のないことになる。
<銭谷 政府参考人(文部科学省初等中等教育局長)>
高校生で九九が分からない生徒もおりますが、そういう生徒については補習をしたり、学校設定教科、あるいは科目で対応したりして、基本的には数学基礎ないし数学-Iをちゃんと履修をしている。それは必履修の履修になるというのが実情です。
私の印象としては、このやりとりで未履修問題を大学入試と関連付け、規範意識の希薄化としか見ない、理解していない文部科学大臣の姿勢に疑問を感じました。
今回の質問のねらいは、こうした授業によって単位修得が認められる場合、今の高校の学習指導要領が、ほとんどの子が入学してくるような今の後期中等教育=高校教育として、実質的にそれは合っているのか、学習指導要領の法的拘束力の問題を含め明らかにすることでした。これは矛盾だと思いますが、こうした矛盾が発生する根本的原因は、高校教育が事実上義務教育化している事実を黙認しながら、建前上は高校教育を選抜された子どもの教育として位置づけている教育行政の姿勢に問題があるのではないでしょうか。
そして、今後の方向性として、こういう幅広い学力の差がある中で、従来の選抜された子どもだけが来る高校という考え方、建前の高校ではなくて、実質的な今の高校に合った考え方をすすめること、もっと言えば、高校に希望する子はすべて入れるように無償にする、あるいは選抜制度をやめるというような抜本的なことも含めた学制改革というものを視野に入れた改革をすすめるべきである、と主張しました。
伊吹大臣は、「世界史を履修しない問題と、今提起された数学基礎や-Iの問題は、少し違う。事情が違うのではないかと思う。ただ、到達度が学習指導要領でお願いしているところへ行っていないかどうかという問題があり、到達度を認定して卒業証書を校長が渡すことの是非が問題になってくる。そういう実態があるから高等学校は選抜をやめてみんな入れろ、そしたら、ますます全入の学校はもっとひどい状態になるのではないでしょうか。」と反論しました。
あとで大臣の答弁を読んでみると、私が提起した内容は制度論です。しかし大臣からは、未履修と同じように学校長の責任に押しつける手法が展開されており、また、私の真意を理解していないことから、荒っぽい議論の展開でかみ合っていない事が分かります。
このあとはもち時間内で高校教育の在り方について、特に、文科省が14期中教審答申以降どういう高校教育政策を推進したのか、取り組み状況等について質問を展開したところです。内容については、別の機会にお知らせしたいと思います。
この日の質問の最後は、「今回の政府提出法案(=教育基本法案)については、学校種で書いており、後期中等教育という文言がなく高等学校だけがすっぽり抜け落ちています。高等学校をめぐり課題も多く、今の教育問題の中ではこの後期中等教育のところが一番しわ寄せを受け、子どもたちの問題がそこに凝縮しています。それにも拘らずこの法案の中に後期中等教育が欠落しているのは、欠陥法案ではないか」ということを述べ、この日の質問を終わりにしました。
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