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参議院教育基本法に関する特別委員会の審議始まる [2006年11月22日(水)] |
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□4人の日政連議員が出席した第1日目の特別委員会 |
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教育基本法改正案は、与党の一方的な採決で衆議院を通過しましたが、参議院でも教育基本法改正のための特別委員会の設置が強行されました。
国会では通常、法案審議する委員会は、曜日を限定し、例えば週の火、木曜日に開かれるようになりますが、これに対し特別委員会が設置されれば月曜から金曜まで毎日開くことが可能になります。臨時国会の会期末が12月15日であることと、安倍総理大臣が教育基本法改正を内閣の最重要法案に位置づけていることから、政府は12月中の成立を目論み、参議院でも「教育基本法に関する特別委員会」の設置を一方的に決定しました。
第1回目の特別委員会は、安倍総理出席のもと11月22日(水)に行われました。 委員会を構成する理事並びに委員には、日教組出身の日政連議員である、佐藤泰介・議員(愛知選挙区)=理事を兼任、水岡俊一・議員(兵庫選挙区)と私が選ばれました。 |
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| □安倍総理、教育基本法改正は自民党結党の精神であることを示唆 |
| 〜与党議員の「憲法改正と教育基本法改正は表裏一体、セットで行うべき」との質問に対し、持論の「占領下の成立過程を重視」を述べる〜 |
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この日の質問には与党から舛添委員が立ち、舛添氏が自民党の新憲法草案をまとめた責任者の一人であることから、憲法改正と教育基本法改正を一体的に進める観点で質問しています。
舛添委員:「我が党は、昨年、立党50周年を記念して我々の憲法草案をまとめた。今教育基本法の改正をやろうとしている。教育基本法の改正と憲法の改正、これは表裏一体できちんとやる。60年たった、日本国民がしっかりといいものは残す。これはワンセットでしっかりやるべきだと思っていますが、総理の御所見を。」
これに対し安倍総理大臣は、委員の質問に直接的な表現で表していませんが、教育基本法が占領下に制定された憲法と同じ位置づける、持論を述べていますので、こうした点で質問者の意図に答えています。
安倍総理:「現行の教育基本法が策定されたのは、占領下。もちろん形式的には内閣総理大臣の下に教育刷新委員会が設けられ、そこで議論を重ね、そして帝国議会における議論を経て、成立した。現行の教育基本法の理念において、教育の機会均等という考え方の下に教育水準の向上を図り、一定の役割を果たしてきたのも事実です。しかし、それと同時に今、占領下にこの基本的な法律ができたのも事実です。言わば、大切な基本法ですから、その成立過程ということも指摘せざるを得ない。そして、何よりも、この戦後60年を経て、大きな変化の中で新しい時代にふさわしいものに変えていくときがやってきたと、このように認識をいたしております。」
また、安倍総理は小泉内閣時の官房長官の時、教育基本法改正案を審議していた通常国会では、個人的な意見と前置きしながらも自民党の結党の理念を教育基本法改正の理由にした発言をしています。
安倍総理:「政府としての見解ということではなくて私の政治家としての考えでありますが、自由民主党も、まさに結党の精神というのは、占領体制においてつくられた基本的な枠組み、憲法であるとか教育基本法というのはやはり自分たちで考えてつくっていこうということを、自民党は結党の際にこれは高々と掲げたわけでございますが、しかし、それはずっとこの50年間、結党して以来後回しにされてきたのも事実ではないか、こう思うわけであります。そして、戦後60年たったこの際、しっかりとした決意を持ってこの教育基本法の改正にも臨んでいるということであろう、こう思います。」
まさに教育基本法改正は憲法改正と同じ構造にあることを指摘できます。
そして、教育基本法の改正という既成事実化によって、「愛国心」「公共性」を盛り込むことにより自民党の新憲法草案の先取りを考えているとしか考えられません。 |
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| □教育基本法改正案のねらい |
| 〜戦後60年変貌を遂げた日本、新しい時代に合った理念、原則を定めた〜 |
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教育基本法改正案が提案されてから、今なぜ準憲法に位置づいている、教育の憲法とも言える教育基本法を改正するのかが、小泉内閣時にこの改正案が提案されてから大きな論議になってきました。政府答弁を要約すれば、「戦後60年変貌を遂げた日本、新しい時代に合った理念、原則を定めた」のが教育基本法改正案と説明しています。
「現行教育基本法の下で、教育の機会均等、その中で学力の水準は大幅に向上した。この60年の間に核家族化が進み、情報化社会の中で情報が氾濫し、間違った情報を受け取ってしまう。自分だけがよければという考えが広がり、かつてのような温かいぬくもりのある地域社会が姿を消しつつある。そういう変貌を遂げた日本の社会の中において、新しい時代に合った理念、原則を定めたものが現在政府で提出をしている教育基本法の改正案である。その中で、例えば公共の精神の重要性、道徳心の重要性、社会参画といった重要性等を定めている」
具体的に安倍総理は、いじめや未履修問題を理由に学校や教育委員会が規範意識を欠いていることから規範意識や情操を身につける、同時に子どもたちに対し質の高い教育を提供し学力の向上を図る方策、家庭や地域の教育力を再生する、教員の対応の在り方、チェック機能が働く教育委員会などのため教育基本法を改正し、それを受け内閣に設置された教育再生会議で幅広い議論をし、抜本的施策を講じたいとしています。
そこで大きな議論になっているのが、新しい理念、新しい原則とは何か、ということです。
伊吹文部科学大臣は、衆議院の教育基本法特別委員会で「教育基本法は世界的に通用する立派な法だが、日本の祖先が築きあげてきた法に書かれざる暗黙の申し合わせという伝統、社会規範を再認識する教育を取り戻さないと、精神の貧困という状況から抜けられない。」と答えています。
参議院の特別委員会では、与党委員の質問に対し、比較文化論として「初めて日本民族以外の支配を受けたあの十年の時期というのは、日本のやはり文化、日本人の生き方に対して大きな影響があった」と述べていますが、このような考えが大臣の持論となって、改正条項の第二条の「国を愛する」の発言にも表れています。この点については後日お知らせすることにします。
舛添委員:「アメリカのGHQは戦前の日本を否定する、そういう立場に立っている、大変いい要素もあるが、伝統の全否定、日本文化の全否定、日本の古いシステム全否定というのが前提だった。今日においていいものは復活させる、残す、そして悪いものは見直すと、それでいいですね。」
伊吹大臣:「基本的には結構だと思います。占領下で現行の教育基本法ができたということは歴史的事実ですが、むしろ申し上げたのは、この法律にかかわらず、初めて日本民族以外の支配を受けたあの十年の時期というのは、日本のやはり文化、日本人の生き方に対して大きな影響があったという一般的な比較文化論のようなことと理解していただきたいと思います。」
そうなると新しい理念、原則とは、大臣の言葉を借りれば、日本の長い歴史の中で醸成されてきた特有の文化の結晶、古い伝統的なコモンロー的な規範を意味しているのではないでしょうか。これでは戦前の保守回帰ではないかと、危惧しているところです。
こうした考えで教育の憲法である教育基本法に対し、子どもたちからも、或いは大人たちからも社会的なコンセンサスを得られることができるのでしょうか。疑問をもっています。
それでなくとも、日本は少子化やグローバル化によって多くの外国人労働者(不法残留者を入れれば80万人と言われています)が年々増え、それに伴い就学適齢の外国人の子どもも増えています。この子どもたちに対し、大臣のように一元的価値観を強要すれば人権問題、国際問題になりかねません。
大事なことは、これから21世紀の日本社会は、経済の成熟化とグローバルがあいまって、(1)少子・高齢社会の到来、(2)男女共同参画社会の進展、(3)構造改革による市場中心の競争社会の出現、(4)情報技術の高度化に伴う、バーチャルな人間関係の創出、(5)国際化の同時進行というように、「個」や多様性への指向を強める中で、これからの次代を担う青少年の20年後、30年後を見据えた、規範意識を育てることが重要なのではないでしょうか。これまでの伝統的規範のみで社会生活を営むことができるのだろうか、日本社会が成り立っていくことができるのでしょうか。
現在の子どもたちが成人し、社会を支える年代になる頃、日本は超高齢社会を迎えます。その時期に至る過程において、大幅な労働力不足が予想され、今後海外から多くの労働者を受け入れざるを得なくなるといわれています。他方で、経済のグローバル化の一層の進行により、より多くの日本人が仕事や留学等で海外に出て生活する機会が増え、本格的な国際社会を迎えます。このような国際社会では、お互いの国の歴史や文化を理解し大切にする心や、自分とは異なる文化や習慣を持つ人たちとコミュニケーションできる能力やセンスが必要になります。その前提として、自分とは異質のものをいかに認め受け入れていくかという新たな規範意識の形成が重要な課題になる、と言われているので大臣が一貫して強調している伝統的規範意識では日本が世界の孤児になりません。
独りよがりのナショナリズムを鼓舞していると、資源を貿易に頼っている日本にとって世界から相手にされないのではないでしょうか。
この間の伊吹大臣の答弁は、いわゆる政治主導によって「原稿なし」に終始しています。私から見れば大臣の答弁は、文科省というよりこれまでの政治家としての持論を展開しているような印象を受けています。それだけに、伝統文化、日本固有の古い習慣を大事にするという考えの延長に何があるのか、追求しなければならないと考えています。 |
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| □タウンミーティング、いじめ、未履修問題についても議論が集中 |
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衆議院の特別委員会では、提案されている改正案の各条解釈を含め約106時間に及んで議論がされています。
参議院では、今問題になっているいじめや未履修の問題、そして「やらせ」のタウンミーティングの実態や政府の対応策について議論が集中しています。
教育基本法に関わって多くの世論調査が行われていますが、いずれの調査も「今の国会にこだわらずに時間をかけて議論すべきだ」が70%近くを占めています。
こうしたことから衆議院では民主党の鳩山幹事長が、まず調査会をつくってそこで検討すべきではないか、という質問が出されています。
鳩山委員:「教育の問題でありますから、一番最初に総理がお話しされたように、完全に与野党が全く別の議論をするという話ではないと思っております。したがいまして、例えば、今衆議院で議論されているわけですから、衆議院の院の中にきちっと調査会というものを構えて、調査会の中で大いに議論をして、一つの、両案を妥協して二で割るみたいな話じゃなくて、本当にいい教育基本法をつくろうじゃありませんか」
小坂前文部科学大臣:「教育改革国民会議また中教審、そしてまた与党における議論、これらの審議の過程においても、国民の皆さんから御意見を聞く教育フォーラムあるいはタウンミーティング、いろいろな機会、意見募集、そして今日、またホームページを通じて、国民の皆さんからの意見募集をしたり、また広報に努めたり、そういうことをずっとやってきているわけですね」
政府は、タウンミーティングをしていることで国民世論の意向を反映していると強弁してきました。しかしそのタウンミーティングも内閣府と文科省が、あらかじめ質問者を用意し、政府側の意に沿った質問をさせる「やらせ」であることが判明しています。これは振り出しに戻して私たちが当初から述べているように教育は最も基本的なことで憲法と直接結びついていることから、「教育基本法調査会」というような組織をつくり根本から議論をすべきです。世論調査はそのことを示していると思います。
このタウンミーティングについて、近日中に集中的に特別委員会で論議する予定になっていますのでここでは割愛することにします。
いじめ、そして未履修については、現在の教育制度や義務教育の在り方とも関連していますので、政府の考えを追及したいと思っています。
そして、いじめについては、11月24日(金)及び27日(月)の委員会審議で質疑を展開することになっていますので、次の機会に詳しい内容を報告します。 |
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参議院議員 神本 みえ子 |