| 2006年12月5日(火) |
| 教育基本法に関する特別委員会 |
| 教育基本法案、日本国教育基本法案、地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律案及び学校教育の環境の整備の推進による教育の振興に関する法律案の審査 |
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| 神本美恵子参議院議員(以下、神本議員) |
民主党・新緑風会の神本美恵子でございます。
この間2回、今回3回目の質問ですけれども、これまではいじめ問題や未履修問題でしたので、やっと教育基本法のこの政府改正案について質問ができると思いますが、限られた時間ですのでどんどん行きたいと思いますけれども。
これは通告しておりませんが、昨日、地方公聴会に行きまして、遅くから質問の準備をしながら、昨日は質問の準備が終わって帰って、朝来ましたら、日本教育学会というところからの「見解と要望」というのが来ておりました。読んでみますと、この日本教育学会というところが、歴代の教育学会の会長さんたち、それから各、教育行政学とか日本デューイ学会とかペスタロッチー・フレーベル学会とか教育史学会、様々な、教育政策とか、あらゆる教育学に関する学会の方たちが千人を超える規模で横断的に統一的な「見解と要望」を出されたという文書が届いておりました。この中では、この間の、衆議院で強行採決された、与党のみで採決をされて参議院に送られてきて、教育の根本を考えるこの法律の審議に当たって、こういうやり方に対する大きな懸念を示しておられます。
そこで、これは文部科学省にお聞きしたいんですが、こういう教育学会の方々、教育の専門家でありますし、ずっと長く研究をしてこられ、そのことは日本の教育の内容にかかわっても教育行政にかかわっても様々な研究成果が教育に、文科省としてもそのことを取り入れながらやってこられたと思うんですが、今回のこの学会の千名を超える方々の「見解と要望」についてお聞きになったことありますか。
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| 田中壮一郎・文部科学省生涯学習政策局局長 (以下、田中局長) |
お答えを申し上げます。
今御指摘のありました文書については、私どもまだ拝見させていただいておりませんけれども、これまでも文部科学省の方にもいろんな学会等からも意見書等が出されておるところでございまして、それらに関しましては、私どもといたしましても拝聴させていただいておるところでございます。 |
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| 神本議員 |
| 私はやっぱり文部科学省としては、こういうずっと研究をなさってきた方々、この教育学会ですね、こういったところの意見をきちっと、向こうが持ってこないから聴かないというのではなくて、きちっとこちら側から、文科省の方からいかがですかと、政府案としてこうやってまとまりましたけれどもというようなことで、ヒアリングをするなり意見交換するなり私はやるべきだと思うんですけれども、そういう姿勢はなかったんでしょうか。 |
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| 田中局長 |
お答えを申し上げます。
教育基本法の改正に関しまして中央教育審議会で御審議を賜ったところでございますけれども、この中央教育審議会では、関係団体あるいは有識者の方から様々な御意見を伺い、その意見を答申の中にも反映していただいたものと考えておるところでございます。 |
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| 神本議員 |
それはよく分かっているんですけれども、学会として千人を超える学者の方々がこうやってまとまった意見を出していらっしゃるわけですから、是非これは聴いていただきたいというふうに思いますし、これはILO、ユネスコも勧告しているわけです、御存じだと思いますが。教員の地位に関する勧告ということで、教育政策及びその明確な目標を定めるため、当局、教員団体、使用者団体、労働者団体、父母の団体、文化団体及び学術研究機関の間で緊密な協力が行われるものとするというふうに、こういう協議をすることを勧告しているわけです。
そのことがより良い、やはり法律を作るに当たっても、施策を進めるに当たっても不可欠なことではないかと思いますので、是非強く要望しておきたいと思います。
それからもう一つ、これも今朝届いていたんです。これは日本女性学会の方から、の十四期幹事会ということで、12月1日付けでやはり緊急声明が来ていたんですが、こちらからは現行法の第五条、男女共学の規定が削除されたことについて、これは教育分野における男女平等の根幹を揺るがすものであるというふうに声明でおっしゃっております。
これは私も全く同感でありまして、この男女共学の規定を削除したのは、この間、委員会質疑の中でも、もう男女共学は普及徹底しているので必要ないというふうな答弁だったように思いますけれども、そこをもう一度確認させていただいていいですか。 |
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| 田中局長 |
お答えを申し上げます。
ただいま委員御指摘いただきましたように、現行の五条の男女共学に関しましては、この男女共学が我が国に浸透しておるということで、中央教育審議会におきましてもこの五条については削除することを御答申いただいておるところでございます。
しかし、御指摘いただきましたように男女平等教育を推進することは大変重要なことでございますので、「教育の目標」の第三号に男女の平等ということを掲げさしていただいておるところでございます。 |
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| 神本議員 |
| 私もそれはよく知っておりますが、大臣、この女性学会の声明の中に、高等教育進学率における男女間格差、後期中等教育及び高等教育での専攻分野における男女比率のアンバランスなど、就学経路上の男女平等を確立する課題は山積していると。女性学研究は、そうした就学経路上の男女格差が社会的、文化的に生み出されるプロセス、教育における男女間格差などが雇用などの性差別の問題とつながっている、したがってこの男女共学の規定は削除すべきではないというふうにおっしゃっているんですけれども、これについてはいかがですか。 |
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| 伊吹文明・文部科学大臣 (以下、伊吹大臣) |
先ほど政府委員が答弁いたしましたことに尽きていると思いますが、今先生がお示しになったその女性学会ですか、のいろいろな就学率に差がある等々について、やはり全く男女は、もちろん体のつくりその他においていろいろ違いが、本質的な違いがあるということを前提に申し上げれば、あらゆる機会において平等に扱わなければならないんですよ、それを前提に。ということは、結果の平等で論ずるのか、それとも条件の平等で論ずるのかという問題がやっぱりあると思いますね。
今、私の理解している限りでは、参考人が御答弁を申し上げましたように、機会の平等において男女が差別されているということはもうないと思いますよ。そして、それは教育においては定着していると思いますね。 |
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| 神本議員 |
| 機会の平等、結果の平等論ではなくて、現実に男女の就学の結果が(発言する者あり)いや、平等論ではなくて、今実際に専攻分野とか四年制とか短大とかいろいろありますよね、後期中等教育で終えるとか。そこに今、結果といいますか、今現実にそういう格差があるということについてそういう認識はあるんですか。 |
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| 伊吹大臣 |
それは、先生も再三結果というお言葉を使っておられるように、機会を平等に与えているけれども、なぜそういう結果になるのかということですよ。そこにおいて、もし何か差別があるというんなら具体的に例示をしてくだされば私は結構だと思いますが、結果なんでしょう、進学率だとかどうだとかというのは。ですから、機会が平等でないということはまずあってはならないことなんですよ。そして、その中で、それはいろいろ人間の営みの中でいろいろなことがあるでしょう。
どうしてそうなったかということの中に男女の不平等ということが含まれているならば、そこは正していかねばなりませんし、先生おっしゃったように、教育学会も女性学会もお話の機会を持つべきだということであれば担当者にいつでもお話を伺わせますが、私が申し上げねばならないのは、やはり公式な組織としては例えば日本学術会議だとかそういうものがきちっとあるわけですから、あるいは中教審だとかですね、あるいはその他、今いろいろ批判を受けている教育のシンポジウムだとかいろんなことをやっておって、そこで御意見を承って間接民主主義を補完することをやっているわけですから、今先生がおっしゃった学会の御意見もそれを補完する一つの御意見として承らしていただくことについては、私はいつでも事務局にその指示をするつもりです。 |
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| 神本議員 |
ちょっともう時間がないんですが、今おっしゃった、こういう結果を生み出しているその要因に問題があるのであればというふうに大臣はおっしゃっていただきました。そこにあるんですね。
内閣府が毎年調査をしておりますけれども、親やそれから社会的な意識として女の子は短大まででいいとか、そういう男女に対する就学機会に対する社会的な意識の問題が指摘されているんですね、これは数字で表れていますので。だからこそ小さいときから男女共学ということを基にして、共学というのはただ同じ学校に女の子も男の子も行けますよというだけではなくて、教育の内容にまでかかわって、同一教育課程を同一場所で同一の指導者から受けるということが、これは女子差別撤廃条約を批准するときに日本もそれはきちっとそういう定義付けをしてやってきたわけですけれども、そのことが行われていないという教育の中での男女平等ということはまだまだ課題としてあるという認識を是非大臣も持っていただきたいと思います。もう御意見聞く時間ありませんので、是非それは指摘させていただきたいと思います。
そこで、質問に入りたいと思うんですが、まず教育基本法、今回の政府案と憲法との関係についてお伺いをします。
伊吹大臣は、この参議院での11月27日の質疑の中でこういうふうに答弁していらっしゃいます。政府案を作成する段階で、現行憲法はもちろんのことでございますが、自民党が作っております憲法草案との整合性も一応チェックして、そしてこの法案、教育基本法の法案を提出していますが、というふうに御答弁なさっておりますけれども、自民党の憲法草案との整合性をチェックしたという事実はあるんですか。 |
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| 伊吹大臣 |
御答弁申し上げておりますように、まず現行の憲法との整合性は、当然今は憲法改正は行われてないわけですから、国会に提出する限りは当然それとの整合性をチェックをして、チェックをしてというか、現行憲法の下でこの法案を提出しています。
しかし同時に、そのときの自民党と公明党の基本法の協議会の当時の出席者に私、確かめておりますが、そのときも、それから文部科学省が正式にその案をいただいて、それを文言に、字句に直したときも、一応自民党の作っております憲法草案との間の整合性はチェックいたしております。 |
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| 神本議員 |
| それは文科省がやったんですか。 |
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| 伊吹大臣 |
| この提案は内閣が提出しておりますが、原案は文部科学省が作成しております。そして、その文部科学省が作成する原案の基本になっているのは、公明党と自民党の与党協議で出てきた案です。その各々の場面で、文部科学省も、そして自民党、公明党の与党協議会も自民党案との整合性はチェックいたしております。 |
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| 神本議員 |
はっきりチェックされているんですね。
私は、これは大問題ではないかと思うんですが、政府案というのは内閣が閣法として提出する、それは当然のことながら現行憲法の枠内で行われるべきことですよね。そうやって現行憲法の下でも作られた法案であるということですけれども、一つの政党の草案、憲法草案と整合性を図るということは、これは政府としてやってはいけない行為ではないでしょうか。 |
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| 伊吹大臣 |
| それは全く違います。それは、立法過程においてできるだけ細心に注意を払うべきことであって、現行憲法と整合性が取れていれば、一番最初に答弁したように、現行憲法下で出すんですからそれは当然のことなんですよ。しかし同時に、念のために自民党の案との間の整合性があるかどうかというのは、チェックするのはそれは立法者としては当然のことじゃないですか。 |
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| 神本議員 |
| いえ、私が言っているのは一政党の草案ですよね。それと、やることは、政府としてやるというのは、憲法は九十九条でこの憲法重視ということを言っていますよね。それを一政党の草案とチェックをするということは、これは問題じゃないですか、官房長官。 |
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| 塩崎恭久・内閣官房長官 (以下、塩崎官房長官) |
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一つは、先ほど伊吹大臣から参考までに参照をしたと、こういうお話がありました。それと、自由民主党というのは、どっかの聞いたことない政党ではなくて、与党の一つの政党でございますので、自分たちが言っていること、与党と言っていることが全く違うことを書いてあるような法律を出すというのも余り格好いい話ではありませんので、それはきちっと見ておくというのがごくごく常識的な判断かなというふうに思います。 |
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| 神本議員 |
| いや、与党だから許されるとかいうのはおかしいと思うんですよね。これはやっぱり、政府として一つの政党と、参考にしたじゃなくて整合性をチェックしたとおっしゃったんですよね。これはまた、まさか内閣法制局と一緒にやったわけではないですよね。 |
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| 伊吹大臣 |
| 再三申し上げておりますように、現在、憲法が改正されてないわけですから、現行憲法との整合性をチェックしてここへ出すのは当然なんですよ。しかし、当たり前のことですよ、それは。しかし同時に、立法者としては細心の注意を払って、どうだこうだ、今の自民党の憲法草案との間に大きな違いがあるのかないのか、そういうことはやはり一応のチェックはするというのが立法者の当然の責任で、今度はそれチェックをしてなかったら逆の攻め方を必ずされますよ。 |
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| 神本議員 |
| いや、逆の攻め方しようと思って言っているんではなくて、政府の行為として憲法遵守義務があるにもかかわらず、その一部政党の草案とチェックをしたということについて私は問題にしているんです。これは、それこそ教育基本法第十条、「教育は、不当な支配に服することなく、」ということについて、帝国議会でも、この意味は何なのかというと、従来、官僚とか一部の政党とかその他不当な外部的な干渉、容喙と申しますか、それによって作られてはいけないということを言っているわけで、そのことを自民党はといいますか、伊吹大臣は侵したんではありませんか。 |
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| 伊吹大臣 |
| 御質問の趣旨がちょっとよく分かりませんが、提案者としては、提案者というか、この法案の作成者としては、やはりあらゆる注意を払ってこの法案を作っているわけですから、その過程で、例えば、帝国憲法とはこんなに違う、帝国憲法と突き合わせてみたらこんなにたくさん違うところがあるなということだって当然考えるというのは、立法者として当たり前のことなんじゃないんですか。 |
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| 神本議員 |
| しかも、私がなぜこんなに問題にしているかというと、自民党憲法草案は、私も新聞記事とかで見ただけですけれども、その理解は今の現行憲法を尊重する立場にはないというふうに思っています。大きく立場が違う内容になっていると思います。特に、例えば自衛軍を創設するとか、それから、現行では基調になっている個人の尊重、尊厳よりも国家主義、公の秩序を維持するというような、理念が大転換するような憲法草案と整合性をチェックしてやるということについて、私はこれは非常に、現行憲法に基づいてやらなければいけない法律改正についてこういうやり方は大きな問題があると思うんですけれども、いかがですか。 |
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| 伊吹大臣 |
現行憲法においてすら先生がおっしゃった国家主義というのはどこにある言葉なのか、私は、自由民主党の憲法草案にもございませんし、どこにある言葉なのかよく分かりません。
しかし、現行憲法においても、個人の権利は公共の福祉の範囲の中で尊重さると書いてあるわけでして、運用の問題として、どうもその公共の福祉はどこかへ行っちゃってその個人の権利が強く出ているのは、バランスを取らなければならないという考えはあるのかも分かりませんよ。しかし、全く、その国家主義だとかどうだとかという言葉はどこに入っている言葉なのか、御教示をいただきたいと思います。 |
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| 神本議員 |
| 官房長官、もう一度お尋ねしますけれども、こういう政府が一政党の草案と整合性をチェックして提案するということについては、しかも、その憲法の下に法律は憲法との整合性を調べなきゃいけないのに、一政党の草案と整合性をチェックしてやったということについては問題はないのでしょうか。官房長官にお聞きします。 |
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| 中曽根弘文・教育基本法に関する特別委員会委員長 (以下、中曽根委員長) |
| 伊吹文部科学大臣。 |
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| 神本議員 |
| 官房長官に聞いております。 |
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| 中曽根委員長 |
| まず、伊吹大臣。 |
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| 伊吹大臣 |
委員長の御指名ですから。
一番大切なことは、憲法を尊重して、この現行憲法を尊重してこの法案ができているかどうかということなんですよ、立法意図と提出者の立場から言うと。それは完全にチェックをしてあるわけです。その上でなお念を入れていろいろなものを参照にするということは、国家主義に転換したとかということとは全く関係がないことですよ。 |
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| 塩崎官房長官 |
| 今、伊吹大臣が答弁されたとおりだと思います。仮に、民主党が憲法草案を作っていれば参考までに見ていたかも分からないと、そんな感じだろうと思います。 |
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| 神本議員 |
国家主義というところで御質問、私が答弁するんではありませんけれども、これもこの委員会で答弁されているんですが、今回の政府案第二条五項、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」態度、これはどういうことですかという質問に対して、大臣は、国や社会を愛情と責任感と気概を持って自ら支える責務を共有し、これは自民党草案にあるけれども、ここのところを教育基本法の二条で受けてというふうに、気概を持って自ら支える責務という自民党の憲法草案を受けているというふうに御答弁なさっております。これは教育の、この後の質問にも続けていきたいと思いますけれども、現行憲法も現行教育基本法も個人の尊厳、個人の価値ということをまず一番基本に置いて、その個人の尊厳をもって人間の成長、発達を保障する責務を国が負うという作り方になっていると思うんですけれども、この自民党憲法草案に基づいてと、そこと整合性を図って作られたこの二条の五号ですね、これは国のために自らの気概をもって責務を果たすということを求める内容になっているところを私は国家主義というふうに言ったわけです。
それで、次の質問に移りたいと思うんですが、直接責任、第十条、現行法の第十条の、教育は、不当な支配に服することなく、直接国民全体に責任を負って行われるべきであるという、この直接国民全体に責任を負って行われるべきものであるという、ここを削除されたことについて、これも大臣は御答弁なさっているんですけれども、教育現場でいろんな混乱が起きたので、ここは全体というのは何なんだということで削除したというふうにおっしゃっていますが、そういうことですか。 |
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| 伊吹大臣 |
先生、正確に、ここは大切なところですから少しお時間いただいて正確にお答えしたいと思いますが、まず法律を提出した場合、その法律がどのような意図を持って提出をされてどのように解釈されていくかというのは、二つのポイントがあるんですね。
一つは、何度も申し上げているように、提出者がどのような意図を持ってその法律を国権の最高機関である立法府に提出をしているか。だから、ここでずっと与野党通じて御質問いただいていることについては、将来この法律を解釈する場合の大変大きなかぎになると思って、私は大変大切に思って答弁をしているという、それが一つ。そしてその後、その法律に基づいて行われたいろいろな行為がどうも憲法に違反しているとか、当初の趣旨に違反しているという場合は、これをそう思った人は司法という場に訴えることができるわけですよ。ですから、そこで出てきた結論が日本国の統治のシステムとしてはその法律の最終的解釈として定着してくると。これで国が動いているわけです。
今の先生の御質問について言えば、現行法の十条については、先ほど先生がおっしゃったようなこの法律を最初に昭和22年に出したときにいろいろな答弁が行われています。だから、国家による不当な介入その他ということをおっしゃったのは、私はそれで立法意図としては間違っていないと思います。そしてその後、この十条の運用について、例えば旭川の事件だとか、東京の国旗・国歌の指導を行った教育委員会の指導の在り方について司法の場へ訴えが起こされたということです。ですから、私たちが今回十六条で「不当な支配に服することなく、」ということをあえて残したのは、教育が国民全体の意思とは言えない一部の不当な勢力の介入を排し、教育の中立性、不偏不党性を求める趣旨からこれを残しているわけです。
そして、国民の意思とは何かといえば、これは日本国憲法によって明らかなように、全国民が主権を持つ、全国民が参加をして選挙によって選ばれた国権の最高機関である国会が国民の意思なんですよ。
そこで、しかしこの国民の意思の下で作られた法律あるいは学習指導要領においても不当な支配になることはあり得るんですよ。私の口からはそんなことはあり得ないとお答えしなければならないんです、文部科学大臣としては。しかし、そうだと思われる人が出てくるわけですよ。出てくることは否定できません。だから、裁判に訴えている場合に、裁判はどのような判決を最高裁が下したかといえば、不当な支配はその主体のいかんを問うところではなく、だから政府も当然ここへ入るということを司法は言っているわけです。論理的には、教育行政機関が行う行政でも、不当な支配に当たる場合があり得ると最高裁判所は判示しているが、同時に、憲法に適合する有効な他の法律の命ずるところをそのまま執行する行政機関の行為がここに言う不当な支配とはなり得ないことは明らかであるという判例を示しておられるということです。
ですから、私たちはもう不当な支配というそしりを受けないように、きゅうきゅうとして中立的な学習指導要領を作っていかねばならないというのは、これは当たり前のことなんですよ。しかし、それにおかしいと思われた人は当然司法の場で争うと。だから、そこの場面を明確にするように今回の十六条では国民の意思である「この法律及び他の法律の定めるところにより」ということを挿入したということです。 |
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| 神本議員 |
| 私がお聞きしたのは、国民全体に対して直接に責任を負って行われるべきものであるをなぜ削除したのかというのを聞いたんですが、今御説明になった部分と、もう一つ、これを削除するということは、ここの文言をもって教育委員会制度というのが作られたというのは帝国議会の議事録でも明らかなんですが、これを削除したということは、現行の地教行法ですか、教育委員会制度を定めている、これの根拠を失うことにならないんですか。 |
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| 伊吹大臣 |
それは違うと思いますね。まず、十六条は「この法律及び他の法律の定めるところにより」というのが国民の意思なんですよ、国会で決めるんですから。ですから、国民全体に対して責任を持って行うということは、もう憲法の国民の教育権もあれば、国会が決めていただくわけですからね、法律は。「法律及び他の法律の定めるところにより」と書いてあるということで、そのことは当然、国民のために行うということは当たり前のことじゃないですか。
それから同時に、教育委員会制度のことをおっしゃいましたが、この十六条ができたときは教育委員は公選だったんじゃないですか。その後、公選制度は廃止されましたね。そういうことを考えてもなおかつ、公選制度が廃止されてもなおかつこの国民のために教育が行われているということは厳然たる事実なんじゃないでしょうか。 |
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| 神本議員 |
公選であるか任命制であるかの問題をここで言っているのではなくて、教育委員会制度をつくるその根拠になったのがここの部分ではないかということをお尋ねしているんですが、どうも答弁をずらされるので討論にならないんですけれども、その次に行きたいと思います。
まず、教育の目的規定のところなんですけれども、第一条ですね、現行の教育基本法では教育の目的として「教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、」、ここは改正案でも同じようになっております。その後に、現行法では「真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。」となっておりますが、政府案ではそこの間の文言が抜けて、「必要な資質を備えた心身ともに健康な国民」というふうになっておりますが、この憲法の基本理念でもあります個人の尊厳、基本的人権ということにつながる「個人の価値をたつとび、」という文言が外されております。そして、国家社会の形成者として必要な資質として、二条にこれはつながっていくんだと思いますけれども、これは、憲法の理念である個人の尊厳を中心とした教育の目的から、国家社会の形成者として必要な資質を備えなければいけないというふうに原理の大転換ではないかというふうに私は読んでしまうんですけれども、いかがですか。転換ですか。 |
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| 伊吹大臣 |
何を指しておっしゃっているのか、ちょっと私は理解できないんですが、現在の教育基本法の第一条を読みますと、「平和的な国家及び社会の形成者として、」と書いてございますよ、これもう国家の形成者としてと。改正案の第一条にも、「平和で民主的な国家及び社会の形成者として」と。全く国家の形成者としてという文言は変わっておりません。
あえて言えば、先生の御意図は、現在の教育基本法に書かれている真理と正義、個人の価値、勤労と責任、自主的な精神、こういうものが現行、現在の教育基本法には個人の価値を重んじとかいうことが入っているのが、むしろ政府提案の案では抜けているじゃないかということをおっしゃっているんじゃないんですか。それは二条にずっと書いてございますよ。 |
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| 神本議員 |
だから、これが教育の目的として第一条に書かれているのか、国家がこの法律で決めようとしている必要な資質、必要な資質としてその次のところに書かれている、法律で政府が決める、ここで改正案議論しているわけですけれども、国家が決めた内容を必要な資質として国民にこれは強制することにならないかという意味で私は質問しているんです。
一条の目的で、個人の価値を尊び、真理と正義を愛し、勤労と責任を重んずるというその目的規定にあるものを、二条で必要な資質として国家が決める内容になっているのではないかと。こっちに書いているからいいというふうに私は思わないんですけれども、いかがでしょうか。 |
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| 伊吹大臣 |
これは一つの立法技術の問題じゃないでしょうか。先生のおっしゃっているような御懸念で、この一条の目的を達成するため二条に教育の例えば手法とか政府の方針とか書けば、私は先生がおっしゃっているような懸念が出てくると思いますよ。これは教育が目指すべき目標を書いているわけですから、今おっしゃっているような御懸念は私は起こらないんじゃないかと思います。
国家がということをおっしゃいますが、国家というのはどういうものを指して国家とおっしゃっているんですか。つまり、我が国の、日本国憲法の下では主権者はあくまで国民なんですよ。だから、国民が参加をして選挙で選ばれた国会というのが最高の、国権の最高機関であり、立法機関なんですよ。そこで決められた意思に従って行動をしない政府というのは、これは許されないんですよ。だけど、そこで決められた意思と違う意思を持っている者の考えに従わないからけしからぬということも、これまた民主主義からいうと、日本国憲法からいうとおかしなことになるんじゃないですか。 |
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| 神本議員 |
| 国家とは何かというようなお話をいただきましたけれども、私、国家というよりも政府と言った方がいいかもしれません。政府が決めたことについて従わなければいけないというようなこの作りが、一条、二条ですね、必要な資質ということで、必要な資質の中身が二条に書かれておりますので、そういう作りに、現行法とは違う作りになっているのではないかということを私は指摘させていただいたんですけれども、もう残り時間がありませんので、その二条について、この教育の目標として書かれているものは、これ学校教育だけではなくて、すべての職業教育、社会教育、家庭教育、そういう目標にも掛かってくるんでしょうか。 |
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| 伊吹大臣 |
それは当然かかわってくると思いますが、この場でも衆議院でも再三御答弁をしておりましたように、心の中へ入り込んだような、その人の信条に入り込んだようなことは国家はしてはならないということはもう大前提としてあります。
それから、先ほどの御質問にかかわりますが、国家の代わりに政府だとおっしゃいましたが、政府という概念は憲法上ないんですね。これは内閣という概念しかありません。内閣は主権者である国民が選ばれた議会の指名によってできるんですよ。ですから、政府がやることは憲法や諸法律に反しないようにきゅうきゅうとして謙虚にやるんです。しかし、それがどうも自分の考えと違うから政府の考えは押し付けるとか押し付けないといったら、日本国の統治のシステムそのものをすべて、先生、否定してしまうことになるんじゃないんですか。 |
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| 神本議員 |
| 先ほど心にかかわるところは評価しないとおっしゃいましたけれども、じゃ具体的にこの教育の目標で必要な資質として法律の中に規定されたことがこれからどのようにほかの関連する下位法の中に表現されてくるのか、又は、具体的には学習指導要領、それに基づいて今度は指導要録、具体的に今、行動の記録としてもうそういうところがあるんですけれども、そこの評価はどうなるのかというようなことについてもまだまだたくさん、恐らく国民の皆さんは、多くはこの規定が内心にまで踏み込んでいくのではないかという、そういう懸念を持っていらっしゃるわけですね。そういうふうになれば、これは明らかに憲法十三条、十九条に抵触してくる、違憲立法ではないかという疑いすら指摘されている弁護士さんや教育学者の方もいらっしゃいますので、そういうことについてはまた次の機会に質問をさせていただきたいと思います。 |
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