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国会活動2006年
2006年3月22日(水)
文教科学委員会
平成18年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算の委嘱審査
[PDF・71KB)]
神本美恵子参議院議員(以下、神本議員)
神本議員
神本議員
おはようございます。民主党の神本美恵子でございます。

今日は予算の委嘱審査ということですが、時間が大変限られておりますので、特に教育をめぐる状況、大変厳しいものがございます。その中で、学校現場で子どもたちと直接向き合っている先生方、様々な困難に直面しながら一生懸命やっている。そういう学校現場に目を向けたときに、今回の予算で示された中で、特に定数の改善の問題と、それから全国的な学力調査、これは直接学校現場に大きな影響を与えると思われますので、大きくはその2点について御質問をしたいと思います。

まず定数改善ですけれども、当初、文科省は、七次改善が計画終了しまして八次改善計画ということで、2006年度から更に教育水準の維持向上と、それから子どもを取り巻く環境の変化に応じて改善計画を立てていらっしゃったというふうにお聞きしております。これまでの七次改善でも、本当に学校現場に目を向けて改善をしてこられたということについては、文科省として精一杯の努力をされてきたというふうに私も認識をしております。特に、学級崩壊であるとか不登校であるとか保健室登校、それから一方では、学力低下などと言われながら、学力を保障しながら更に向上させるという、そういうことに七次改善でやってこられたと思うんですけれども。

また、新たな課題として、学校安全の問題、それからここ1、2年の間に、小坂文科大臣も発議者になって作られました食育基本法でありますとか、それから栄養教諭制度の問題でありますとか、読書活動振興ということで専任司書の配置についても、それからまた今国会に出されようとしております学校教育法の一部改正で特別支援教育の充実というような新たな法的に整備されつつあることについて、それを本当に学校現場で進めていくとすれば、それに対する教職員の配置がないことにはただ絵にかいたもちになるのではないかという意味で、文科省が概算要求のときに予定していらした第八次定数改善というものは十分とは言えなくても一定の期待をしていたわけです。

ところが、今回の予算ではこの計画は見送りになったんではないかと思います。この予算書を見ますと、定数改善のところでは329人の定数増のみとなっているんですね。

ですから、文科省としてのこの定数改善についての認識と、それからどういう経過で、また理由でこのようなことになったのかということを、簡単で結構ですけれども、お知らせいただきたいと思います。
銭谷眞美・文部科学省初等中等教育局長(以下、銭谷局長)
銭谷局長
文部科学省では、次期定数改善計画を策定すべきとの中央教育審議会の提言も受けまして、平成18年度から22年度までの5か年計画で第八次定数改善計画を作成することといたしまして、その初年度分の改善を平成18年度の概算要求に盛り込んだところでございます。この改善計画の内容は、ただいまお話もございました今日的な教育課題に対応するために、少人数教育の推進、特別支援教育の充実、そして学校運営の円滑化を図るために必要な定数改善を大きな柱といたしております。5年間で総数15,000人の改善を図ろうとするものでございました。

概算要求を進めていく中で、現下の厳しい財政事情の下で政府全体として公務員の総人件費改革ということが大きな課題となったわけでございます。そういう総人件費改革の議論が行われている中で、平成18年度予算編成に向けまして文部科学大臣と財務大臣との間の協議が行われまして、第八次公立義務教育諸学校定数改善計画の取扱いについて結論が出されたわけでございます。その内容は、現下の総人件費改革をめぐる議論の状況にかんがみまして、平成18年度において第八次定数改善計画の策定は行わないということが合意をされたところでございます。

一方、今日的な教育課題への対応のために、教職員配置の見直しによりまして、特別支援教育や食育の充実のために必要な教職員の措置も必要であるということで、総数329人の改善を平成18年度の予算案に盛り込んでいるところでございます。
神本議員
正に公務員改革の中の総人件費削減改革ということでこういうことになってしまったという御説明で、恐らく心中察するに、文科省としては、何といいますか、とてもこんなものは受け入れられないというお気持ちが、多分現場の立場に立てばおありになるかと思います。

この総人件費改革という中で、人員が多いという理由で特出しされて、人員の多い教職員について自然減を上回る純減ということになっております。これまでだって十分ではなかったのに、それを自然減で何とか補ってきたのに、それを更に上回る純減をするとすれば、今おっしゃったような新たな課題に本当に対応できるのかということを私は懸念をいたします。これまで実施してきた少人数指導や少人数学級の取組ができなくなって廃止になるのではないか、あるいはさらに、40人学級であるにもかかわらず、それを上回るような事態も引き起こされるのではないかというような懸念もいたします。

これは決して大げさな数字ではなくて、政府が言っている4.6%削減する場合、文科省も試算されていると思いますけれども、削減数は45,212人、向こう5年間の自然減22,400人を差し引きますと5年間で22,812人削減しなければならないということになります。

大臣にお伺いしたいんですけれども、これだけ削減をすれば、現在でも十分ではない教育条件が更に悪化するのではないか、また地域の財政力によって地域間の格差が拡大していくのではないか、義教費も3分の1に削減されたというこの状況の中でそういう懸念を持つわけですけれども、大臣としてはどのように認識していらっしゃいますか。
小坂憲次・文部科学大臣(以下、小坂大臣)
小坂大臣
小坂大臣
今委員が御指摘なさいましたように、現下の教育の必要性、改善の必要性というものは、非常に皆さんの要望、現場の要望も強いわけでございます。そういった中で、一方では、財政再建を始めとした経済・財政面での改革、そしてまた政府の方針でございます総人件費改革というものを踏まえまして、私といたしましては、現場の声をしっかりと聞きながら、こういったものに対応するにはどのようにしたらいいかと大変に苦慮したことは事実でございます。

しかし、その苦慮する中で、守っていかなきゃいかぬと思うことは、やはり悪化につながってはならぬということでございまして、さらに、必要とされる特別支援教育、また食育教育、こういったものに対しての定員はしっかり確保してまいりたい、このような決意の下に取り組んでまいりました。

したがいまして、御理解を賜りたいと思うことは、18年度からのいわゆる第八次というような名前を冠した形の定員改善計画の策定は見送ったわけでございますけれども、今日的な教育課題であります食育、また特別支援への対応、またそういった意味での教職員配置の見直しということで、教職員配置の見直しを徹底的に行う中で特別支援教育や食育の充実に必要な教職員定数の改善は図っていくということを難しい問題の中で実現したつもりでございまして、合理化減によりまして得られました329人は本来ならば削減の方向に向かうわけでございますが、これらを充実のために充てるということによりまして、総人件費改革の中においても、学校教育の実施に当たっての根幹であります標準法対象の教職員数の純減については、基本的には児童生徒の減少に伴う自然減によるとしつつも、文部科学省としては、現行の標準法に基づく学級編制及び教職員定数については悪化につながるような制度変更はせずにこれに対応できたものと考えているところでございまして、御指摘のような教育環境の悪化や地域間の格差を生じさせないという決意の下に取り組んでまいりました。
今後ともこの方針を貫いてまいりたいと考えております。
神本議員
大臣から、厳しい今の財政状況、政府全体の状況の中でも標準定数法の配置については毅然と確保していく、さらに、学級編制が変わるようなことにならないようにという力強い決意をいただいたんですが、今日は総務省にもおいでいただいております。

三位一体改革で義務教育費国庫負担議論の中で、総務省、地方6団体もそうですけれども、標準定数法があれば財源を地方に渡しても問題ないということを再三おっしゃってこられたと思います。全国知事会も昨年の7月に、国への要望ということで、次期定数改善計画を早期に策定することということで、これは当然、現行標準定数法を守った上で、確保した上で次期定数改善計画というふうに、同じ認識に立っているというふうに私は思っていたんですが、昨年、行革の重要方針が閣議決定された2日後に総務省が都道府県、政令指定都市あてに発出しているその文書を読ませていただきましたけれども、その中に、「教職員など国による定員関係の基準の見直し等を踏まえた取組を適切に反映されますようお願いいたします。」というふうにあるんですね。

これ、どう読んだらいいのか。うがってといいますか、このまま読めば、標準定数法を変えてというふうにも読めないんですけれども、総務省としてよもやそんなふうには考えていらっしゃらないですよね。ちょっと確認したいと思います。
清水治・総務大臣官房審議官(以下、清水審議官)
清水審議官
清水審議官
義務教育教職員の定数の関係のお尋ねでございますけれども、総務省といたしまして、昨年11月に経済財政諮問会議において、総人件費改革基本指針において教職員の定数についての厳しい状況の下での決定が行われたと理解しておりまして、その後で行革の重要方針も決められているわけでございます。

そういう中で、義務教育の教職員の給与費につきましては、標準法に基づいて配置等の基準が示されております義務教育教職員の定数に係る給与費については、その所要額全額を地方財政計画に適切に計上いたしまして必要な一般財源を確保してきているところでございます。
今後ともそのように対処していきたいと考えております。
神本議員
事前の通告といいますか、ではこの文書をちょっとまだ手に入れていなかったものですからお願いをしていなかったんですが、この「教職員など国による定員関係の基準の見直し等を踏まえた取組」というのはどういう意味なんですか。標準定数法を変えろという、変えることは総務省でできないんですが、どういう意味なんですかね。
清水審議官
地方財政計画の策定に当たりましては、全体としての公務員についての行革の重要方針等を踏まえた中で、決められた定数の下で標準法に基づいて適切な額を計上していくという考えでございます。
神本議員
標準法に基づいて適切に配置、地方財政計画に入れていくということを確認してよろしいですね。──はい。

神本議員
次に、就学援助受給者が増えているというようなことや、親の所得・経済格差が教育格差につながっているのではないかというようなことが昨今言われておりますけれども、高校の進路担当の先生に聞いたという民間調査によると、このことについて、大学に行きたくても行けない生徒は学力より学費の制約の方が強くなったかという問いに対して、高校の進路担当の先生方の約7割の方が、とてもそう思う、そう思うというふうに答えていらっしゃいます。また、家庭の経済力によって高等教育を受けられる格差が広がっていると考える高校の先生が、とてもそう思う、ややそう思うを合わせると約8割を超えているんですね。

文科省として、親の所得格差、経済格差が教育にどのような影響を与えているかということについては、総理の答弁をこの間聞いていますと、そういうことはないと、格差自体を認めていらっしゃらないところもありますし、文科省としては、この就学援助が増えているということや、それからこういうふうに高校の先生が答えているような教育格差につながっていくのではないかという懸念について調査できる限りきちっと調査すべきだと思うんですが、先日、民主党でヒアリングというか御説明聞いたときには、就学援助が増えているのは、まあこれは申告主義だから、申請主義だから、親の認識、普及した、そして権利意識が高まったというような御説明を聞いて、いや、そういう薄っぺらな分析ではなくてきちっと精査すべきだということを申し上げましたが、これについてはどのようにお考えでしょうか。

保護者の所得によって子どもの学力や教育機会に格差が出てはいけないというふうに、そうさせないために義務教育国庫負担できちっと裏打ちをして、この間、日本の教育制度をやってきたわけですから、今こういう事態になっていることについて文科省はきちっと把握して対策を講じるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
銭谷局長
特に義務教育につきましてはすべての国民に対して無償で一定水準の教育の機会を提供するということが必要なわけでございます。お話にもございましたように、国としては授業料の無償や教科書の無償給与に加えまして、学校教育法の規定に基づいて、市町村において経済的理由により就学が困難な児童生徒に対して就学援助を行っているわけでございます。

この就学援助を受ける子どもの割合が最近増えているということに関連をいたしまして、私ども、各都道府県の県庁所在地及び東京23区を含む全国の125ほどの市等に対しまして、その就学援助の担当者の方がどういう具合にこの就学援助率の推移について感じを持っているのかということを自由記述で調査を今いたしているところでございます。

まだ全部集まっておりませんが、これまで回答を寄せられた内容を私ども分析をし、見てみますと、一つには、やはり最近の就学援助率の推移について、企業の倒産とかリストラなどによる親の経済状況の変化によるものというものがありますと。それから、誠に申し上げにくいことでございますが、母子家庭、父子家庭というものが最近増加をしていて、そのことが反映されているんではないかと。それから3点目には、就学援助制度というものがかなり知られるようになってきたということ。それから4点目には、就学援助を受ける保護者の意識が変化をしてきて、申請をしようというような意識が見られるようになったといったようなことを言っている担当者もおります。全体としては今申し上げましたような状況が担当者の方からは回答として寄せられているということがございます。今、私ども、調査をお願いしているところの集計をできるだけ早くそろえて、更にもう少し詳細な分析をしていきたいというふうに思っております。

いずれにいたしましても、文部科学省としては義務教育の機会均等を図るということが大変大事な課題でございますので、就学援助が適切に実施をされるように、今後とも、就学援助に係る市町村の取組状況の把握に努めて必要な指導をしてまいりたいと考えているところでございます。
神本議員
前回よりもかなり、まあかなりって、ちょっと詳しく担当者に聞いて調査をしていただいたようですけれども、その担当者の方が今度はどれだけ学校現場の直接その担当している担任の先生などに聞いて実態を把握していらっしゃるかということについては、是非、もっときちんとした分析するために聞いていただきたいなというふうに思います。

就学援助というこういう制度があるということはもっとすべての保護者の方にきちっと周知徹底をして、そして必要であれば、子どもや家庭だけで我慢をして子どもの進学の希望や将来への希望を摘むようなことがないように国としてやっているんですよと、これはもう国庫負担から外されましたので、本当に地方財政がだんだんこれによって厳しくなっていくというような一方での懸念もありますけれども、法律で規定されたことでございますので、きちっと周知をして、機会均等や子どもの将来の希望を摘むことがないように更に精査していただきたいというふうに思います。

ちょっと時間がなくなりそうで気になるんですが、定数問題では、最後に、もう何度も文科省の方でも資料を作られたりしておりますが、OECD諸国と比較しても日本の教育予算というのはやはり決して十分とは言えない。例えば、一つ平均学級数、前期中等教育段階の平均学級数だけで見てみましても、日本は約35人なんですね。実際、40人以下で組まなきゃいけないようになっていて、実態としては約35人になっている。OECD諸国で30人を超えているのは韓国とメキシコと日本だけという、3か国だけなんです。あとは全部30人以下で、20人を切っている国もあるようなこの状況の中で、もう繰り返しませんけれども、今の子どもたちの本当に多様化している価値観や個別化している子どもの生活というような中で、もっと少人数教育を進めるために定数改善をしたり学級編制基準を変えたりというようなことが必要だと思うんですけれども、それについての認識と、今後、この厳しい中だけれども文科省として頑張るぞという見通しと決意をお願いしたいんですが。簡単でいいです。
馳浩・文部科学副大臣(以下、馳副大臣)
馳副大臣
馳副大臣
確かに御指摘のとおり、一学級当たりの児童生徒数はOECD諸国で下から2番目と。実は同じような調査で教員一人当たりの児童生徒数は随分この定数改善計画で改善してきているということもまあ御理解いただきたいと思います。

今後とも、やはり一人一人の子どもに目の届くような教育環境を整備していくことは重要と考えておりますので、努力してまいります。
神本議員
馳副大臣も学校現場を御経験なさったというふうにお聞きしておりますので、そのことを踏まえて、是非少人数教育、少人数学級ということに向けて御努力をいただきたいと思います。

次に、学力調査、全国的な学力調査について、これも来年度予算の中で約29億円というふうに計上されておりますけれども、この学力調査についての目的とその調査の方法。それから、これは2006年度は問題作成やシステム開発というような、まあいわゆるプレ調査、事前のことで29億円計上されております。例えば、じゃ2007年度本格実施をする場合にはどのぐらいの予算が想定されるのかということについて簡単にお答えをお願いします。
銭谷局長
まず、全国的な学力調査の目的及び方法でございますけれども、まず目的でございますけれども、一つには、国が児童生徒の学習の到達度あるいは理解度を把握することによりまして教育施策の成果と課題を全国的規模で検証をするということがございます。また、地域における教育水準の達成状況をきめ細かく適切に把握をすることによりまして、国の責務でございます各地域における一定以上の教育水準を確保するということの検証ができるものと考えております。また、教育委員会や学校が全国的な状況との関係の中において自らの教育委員会、学校の状況を知り、その特徴や課題を把握をし、指導の改善につなげていくということも目的の一つとして考えているわけでございます。

実施の方法でございますけれども、小学校の6年生の国語と算数、中学校3年生の国語と数学につきまして、平成19年度の早い時期に実施をする予定でございます。

それから、予算でございますけれども、平成18年度の予算案におきましては約29億円を計上いたしております。この主な内容といたしましては、問題用紙の印刷を含みます問題作成を18年度に行いますのでそのための経費と、採点、集計のシステム開発のための経費、それから18年度に小規模でございますが予備的なこのシステムを使いました調査を実施をしたいと、こう考えておりますので、いわゆる予備調査のための経費というものがこの29億円の中に含まれているところでございます。

それから、19年度以降本格的な実施になった場合の必要な予算でございますけれども、これは現時点ではまだ確定をしていないわけでございますが、必要な経費としては、各学校への問題用紙等の発送、回収のための経費、それから採点、集計、分析等に係る経費がこの18年度予算に加えて必要になるというふうに考えているところでございます。
神本議員
そうなると、およそどのくらいになるんですか。およそ倍とかそういうのを全然、もうこの7月にもまた再来年度の概算要求になると思うんですが、その辺の見通しを持ってやらないと、この29億円という金額もとても無視できない金額といいますかすごい金額だなと思いますが。分からないですか。
銭谷局長
これから作ります採点、集計のシステム開発ともかかわるわけでございますので、今19年度の見込額、いろいろと試算をしているところでございまして、ただ、やはり今年の予算に比べると倍以上は掛かるかなという感じは持っております。
神本議員
人によってはといいますか、業者さんなんかも今専門家会議、検討会議にいらしているそうですけれども、どこからか百億は掛かるだろうというようなお話も聞こえてくるんですね。

これだけのお金が掛かるこの全国調査の意義についてなんですけれども、例えば愛知県の犬山市などは、この前の報道によると、これは画一的な教育につながるということでテストに参加しない見通しだというふうに報道されておりました。こういう犬山市のように不参加というようなことを言う自治体に対して、これ参加を強制する権限というのは文科省にあるんでしょうか。
馳副大臣
報道に接しまして、びっくりいたしまして問い合わせをし、確認を取りましたら、全国的な学力調査に不参加の意向を固めたわけではないという一応お答えはいただいておるんですよ。一応、国の責任としては、やはり教育の機会均等、水準の維持向上に責任を持っておるということでありますから、すべての都道府県、市町村に参加をいただきたいと。これを促していくつもりでございますし、是非参加をしていただきたいというふうに考えております。
神本議員
犬山市、確かに固めるのはそのときになってでしょうけれども、私がお聞きしたかったのは、そういうふうに決定した場合、文科省はそれでも必ず参加せよというふうな権限が法的にあるのかどうかということについてお聞きしたいんですけれども。
銭谷局長
基本的には設置者でございます市町村の教育委員会の判断ということになるわけでございます。

ただ、私どもは、先ほど申し上げましたように、全国的な子どもたちの学力やあるいは学習意欲、生活の状況ということを把握をし、また各教育委員会や学校でも全国との対比におけるそれぞれの教育委員会、学校の状況を把握をし、その後の指導改善に役立てると。また、保護者の方や地域の方に自分たちの学校の状況というものをきちんとお伝えをして教育改善を図っていくということが今日必要なわけでございますので、今具体的な実施方法については専門家会議で検討中でございますが、その結論を得まして、それを各都道府県、市町村の教育委員会に御説明をしっかりいたしまして、学校がすべて参加していただけるように私どもとしては御説明を繰り返し行って理解を求めていきたいというふうに考えているところでございます。
神本議員
だから、強制はできないということは確認していいですね。──はい。

神本議員
文科省としては参加されるように一生懸命働き掛けるというのは分かりますが、ただ、犬山市はなぜ参加しない見通しだというふうに言っているかというと、今文科省、先ほど目的や方法を御説明いただきましたが、その方法では、犬山市がやっている、それこそ文科省が推進してきた地域の特色、教育の特色を出すというようなそういうことでやってきた施策から見れば、自ら学ぶ力というのを力点を置いてきたと、そのことはこのような学力調査、今計画していらっしゃるような学力調査では測定できないというふうに判断していらっしゃるんですね。それから、特色ある教育をやっているけれども、それはそれぞれの地域の目標に応じて総合的に評価されるべきであって、こういう全国一律の、しかも国語、算数、数学だけというようなことでは評価されないということと、それから先ほどの目的の2番目にありましたが、ああ、一番目ですかね、子どもたちの理解度や到達度、学習指導要領に照らしてそういうものを把握したいということですけれども、それは私も学校にいた経験がありますけれども、もう毎日の教育実践の中で、授業実践の中で、この子は掛け算、九九が、まだ「7」の段がいまいちだなというのは毎日教育実践の中で評価しているわけですよね。それが、すべての子が上の学年に上がるときにはすべて到達させたいと思いながら、ああ及ばなかったな、そのことは次の先生に引き継いでいこうというふうにやってるわけですので、この犬山市もそういう視点から今文科省がやろうとしている全国学力調査には参加しない、こういう自治体がほかにも出てくるのは当然だと思いますが。

となると、でもせっかくこれだけ、まあ29億からその3倍ぐらい掛かりそうなお金を掛けるんであれば、有効な調査にしなきゃいけないと思うんですね。そうすると、余り今計画している方法にこだわることなく、是非有効な調査にするということを考えていただきたいというふうに思います。

時間がないので次に行きますが、その有効な調査という意味で、今行われようとしているのは小6、中3の全員対象ですね。いわゆる悉皆(しっかい)調査になっていますけれども、この悉皆の必要性というのをお聞きしましたら、学校評価や教職員評価や、それから子どもたちに返して子どものつまずきに気付かせるというふうなことでおっしゃっていますけれども、犬山市はそれが要らないというふうに言ってるんですよね。ですから、悉皆調査はやめるべきだと思いますけれども、それについては、今すぐそういう答えは言えないでしょうね。まあそれはちょっと意見として言っておきます。

で、この調査項目の中に、私の方にも御要望いただいているんですが、調査内容やその分析ということで重要な問題が指摘されております。

それは、PISA調査でも2003年に行われたということなんですが、子どもたちの学力というものの規定要因の一つに、重要な要素として、家庭環境、家庭の文化的な、あるいは経済的、社会的な背景が、家庭階層といいますか、そういうものが学力を規定する要因の一つとしてあるのではないかと。これは、そのPISA調査では、例えば親の職業や家庭のクラシックな文化的所有物、そういうものが得点を上げる効果が大きいというふうに指摘をされております。

これは専門家検討会議の中でもそういう指摘があったというふうに聞いておりますけれども、調査をするならば悉皆ではなくてこのような規定要因もきちっと分析できるような調査内容にすべきだと思いますけれども、それについてはいかがでしょうか。
銭谷局長
全国的な学力調査について、いろいろな観点から今神本先生からお話がございました。私どもは、全国的な学力調査のみをもって子どもたちの学力を図ろうとかそういうことではなくて、これは一つの全国共通の基盤の上に立った調査でございますので、その調査を踏まえて、様々な観点からそれぞれの学校、教育委員会の教育改善を図っていくための資料にしていただきたいという気持ちで今調査の方法、内容を詰めているところでございます。

地域が自主性、自律性を持って特色ある教育活動を展開をするということはこれは当然必要なことでございまして、ただ、全国的に共通に教育水準の維持向上ということも求められているのも事実でございますし、その状況について各保護者や地域に各学校がやっぱりお知らせをするということもこれもまた重要なことでございますので、そのバランスをよく取っていく必要があるというふうに考えております。

それから、PISAの調査では、家庭の経済状況等と子どもの言わば学力等との相関についての調査をいたしているわけでございます。先生今お話ございましたように、家庭の学習リソースあるいは家庭におけるクラシックな文化的な所有物、保護者の教育的な背景、家庭の社会・経済的な背景というものと学力の関係の強さについて、OECDのPISA調査では各国ごとに状況を報告をいたしております。

これを見ますと、OECDの平均が、その関係の強さということでいいますと、全体で20.3ポイントなんでございますけれども、日本は11.6ポイントということで、OECD平均よりも影響が小さいということが結果としては出ているわけでございます。

なお、今回の全国的な学力調査におきましても、子どもたちの学習意欲でございますとか生活状況とか、あるいはいろいろな教育条件、こういったようなことについても調査をいたしまして、そういうものと教育活動あるいは学力、そういったことの関連ということも把握をしていきたいというふうに思っているところでございます。
神本議員
悉皆にやっぱりこだわっていらっしゃるような御答弁でしたけれども、例えばフィンランド、PISA調査でトップ成績を収めているフィンランドなどでは、この全国テストをやっぱりやってはいるんですね。ところが、やっているその目的というのが、日本でいえば学習指導要領、これは適切であったかどうかという、教育施策の成果と課題を検証するという目的、これは文科省の今回のにもあると思うんですが。それからもう一つ、今教育条件とおっしゃいました。教育資源が正しく配分されているかという、それから教育条件が十分であったかという、そういうことを評価するものであって、子どもや教員を評価する、このことについては非常に大きな懸念があるということで、それはやらないというふうに聞いております。ですから、全国調査はテスト形式でやるものは5%から10%の抽出方式でやっているというふうに調べたところ分かったんですけれども。

悉皆でやることの問題については、日本もこれまで、過去、学テというのがありまして、学力テストがあって、途中で中止せざるを得なくなったのは、この悉皆でやったために過度な競争や、それからテストのための準備授業になってしまうというような、それから低得点しか取れない子どもや学校に対して過度なストレス、プレッシャーを与えてしまって、教育そのものがゆがんでいったという経験の中であれは中止に追い込まれたと思うんですね。

そのことは今もイギリスで、文科省はどうもイギリスを参考にされているようですけれども、イギリスでもそのことはもう一杯指摘されていて、イギリスの教員組合もこれに対してははっきりと反対を表明して、ウェールズ州はもうこれから離脱を発表しているというふうにも聞いております。

そういう過去の教訓やイギリスでのもう明らかな問題について、そういうのを教訓としないでこだわろうとするその気持ちが分からないんですが、そのことは是非、検討会議の結論も出るでしょうが、それを踏まえるだけでなくて、是非検討し直していただきたいというふうに思います。

時間がないんでもう一つ、先ほど言いました、もしやるとすれば、そういう学力の背景をきちっと調査する。それは悉皆でなくていいですし、全国今、教育課程実施状況調査というのをやられていますよね。これは国際的にも大変評価が高いというふうに聞いています。

ただ、この学力というのが、学習指導要領で規定している学力が本当にこれからの21世紀を生きていく子どもたちの学力として妥当なものであるかという、そういうものを研究して、今やっている調査をもう少し深化、研究して、それに更にそういう背景的なものも質問用紙の中に入れられないかということを是非前向きに検討していただきたいんですけれども、それについて最後お伺いして、大臣、是非そういう調査にしていただきたいということをお答えいただきたいと思います。
小坂大臣
委員から各種の御指摘がございました。
全国学力調査に関しましては、ゆとり教育に対するいろいろな御意見、またPISAの調査に現れている読解力及び理数系の学力の低下という指摘、こういったものを踏まえながら、現状がどこにあるのかということをしっかり把握する意味で、是非とも実施させていただきたいと、こう考えております。

その実施に当たりましては、専門家による検討会議を設けてそこで検討していただいておりますけれども、単にその検討結果を踏まえて実施するだけでなく、中央教育審議会における答申の意向、そしてまたこの検討会議の結論、それから市町村等の意見を十分に聞いて、そしてそういった上で、今御指摘のありましたいわゆる弊害と言われるようなものの除去に努めて、この確実な実施と、そして悉皆調査によるいわゆる御指摘のあったような単なる個別の競争を起こすような、過度の競争に入るような、そういった弊害が生じないような方法を講じて、公表等についても十分に配慮して、そういった点を配慮した上で公表の方式等も考えて、各市町村、学校現場の皆さんの理解が十分に得られるような方法を模索してまいりたい、その上での実施を心掛けたいと思っております。
神本議員
もう時間になりましたけれども、悉皆でやると公表の仕方をどんなに工夫してもそういう弊害が出てくるということは、これはもう過去の教訓ですから、是非そこは強い認識を持っていただきたい。イギリスの例ももう少し研究していただきたいというふうに思います。

それから最後に、私が要望しております家庭階層の問題、学力を規定する要因については是非とも悉皆ではない調査の中で入れていただきたいという要望を強く申し上げまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
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