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国会活動2005年
2005年9月29日(木)
本会議
国務大臣の演説に関する件
[PDF・44KB]
神本美恵子参議院議員(以下、神本議員)
神本議員
神本議員
私は、民主党・新緑風会を代表し、総理及び関係大臣に質問をいたします。
私は議員になる前、長年、小学校の教員を務めておりました。そこでつくづく感じてきましたことは、政府が子どもと学校現場の現実を余りにも知らないということです。総理は米百俵の話を好んでされますが、この4年間、郵政民営化を始めとする行財政改革にかまけて総理が教育に力を入れてきたとはとても思えません。所信演説でも、教育のキの字もありませんでした。

今、教育現場が抱える困難は多岐にわたり、深刻化しています。先般公表された昨年度の全国公立小学校における校内暴力は、過去最悪の1,890件に上りました。また、教育現場のみならず、子ども虐待、少年犯罪、子ども買春などの社会的な問題、約213万人を超えるフリーター、約64万人のいわゆるニートの問題など、子ども一人一人が抱える問題の背景には、子どもを取り巻く環境の激変、社会構造や生活形態の変化があります。

親の生活や価値観も多様化する中、昔と比べて地域社会と家庭との関係は希薄になり、例えば担任教師が、朝子どもを迎えに行き、朝食をつくって食べさせて学校に連れてくるなど、今まで家庭や地域で解決してきた課題が学校に持ち込まれています。その根底には、国民の暮らしを無視し、生活不安、将来不安を増大させてきた小泉構造改革があります。これが本当の改革と言えるでしょうか。

まずは、直接子どもとむき合っている保護者や教職員が心にゆとりを持って一人一人にむき合い、このような困難にきめ細かく丁寧にかかわり、充実した教育ができるような環境整備が政治の使命ではないでしょうか。総理はこういった現状をどのように認識し、どう対応しようとお考えか、お聞かせください。

次に、教育基本法についてです。
今述べたような子どもや教育の現状に対して、子どもが事件を起こすのは戦後教育が間違っていたからだ、そのもとになっている教育基本法を変えなければならないと、事件が起こるたびに乱暴で極めて政治的な自民党議員の発言もあります。民主党は、教育基本法については国家百年の大計に備える大事であると考えます。

教育基本法は、その前文に日本国憲法の理想の実現は教育の力にまつべきものであるとうたわれているとおり、個人の尊厳を基本とする人権の尊重、平和と民主主義を担う主権者の育成を柱とする憲法と密接不可分の法律です。

日本PTA全国協議会のアンケート調査では、88.8%の保護者が教育基本法についてよく知らないと回答しています。また、47.6%の保護者が議論した上で改正すべきかどうか考えるとも回答しています。日本の教育の在り方の根本を決める教育基本法について、更にその改正が必要か否かを検討するに当たって、中央教育審議会や与党による協議のみでなく、公開の場で国民的な論議を行う必要があることはこのアンケート結果からも明らかです。

憲法と密接な関係にある法律ですから、例えば国会に教育基本法調査会を設置して、公開の場で様々な角度から論議すべきであると考えますが、総理の見解をお尋ねします。

戦後の日本社会の復興と発展を支えてきたのは、我が国の教育システムであることは紛れもない事実であります。とりわけ、人生の早い段階で人間形成の基礎を培うことになる義務教育については、日本全国、どんな家庭に生まれても、どんな地域に育っても等しく無償の教育が受けられるという日本の義務教育制度が果たした役割は重要です。

一方、社会構造の変化に伴う様々な問題に直面している学校教育に対し、国民の信頼が低下していることも否めない事実です。問題が起こるたびにくるくる猫の目のように変わる教育改革ではなく、今こそ国民の信頼を回復し、直面する課題解決にむけた抜本的な義務教育改革に取り掛かるべきではないでしょうか。

昨年末の政府・与党合意では、義務教育制度については、その根幹を維持し、国の責任を引き続き堅持するとされ、現在、中央教育審議会において議論されており、秋には答申が出されることになっていると聞いています。

そこで、総理にお聞きします。教育、とりわけ我が国の土台を築く義務教育の在り方全般について、今後どのような方向で改革を進めることとなさっているのか、そのお考えを改めてお聞きいたします。

OECDの調査によると、初等中等教育における日本の教育機関への公財政支出・対GDP比は、OECD平均の3.5%を下回るわずか2.7%にとどまっています。このデータを見る限りにおいては、日本の教育、とりわけ初等中等教育への財政投資は世界的にも決して高いものではありません。日本がGDP比率で教育への公財政支出が低いのは日本のGDPが極めて高いからだなどという意見も聞かれますけれども、それは間違った認識だと思います。GDPが高ければ高いなりに教育への公財政支出を上げればよいことではありませんか。より一層の財政支出を行うことにより、一層の個性豊かな人間の育成と社会発展が期待できるのではないでしょうか。

国際化する未来社会において日本の子どもたちがたくましくともに生きる力をはぐくむため、教育、とりわけ義務教育への投資を惜しんではならないと考えますが、文部科学大臣の見解をお聞かせください。

次に、男女共同参画と少子化対策についてお尋ねします。
一部で声高に、女が外で働くから子どもが生まれなくなったと言われた時期がありました。先日、内閣府から少子化と男女共同参画に関する社会環境の国際比較の報告が出されました。これによると、日本は他の先進国に比べ仕事と子育てが両立しにくい社会環境にあるという結果が出ています。特に、日本の男性の家事、育児の関与などがOECD24か国中最も低く、家庭責任の負担が女性に著しく偏っているというものです。少子化対策や子育て支援というのであれば、保育所の充実や子育てサポート事業ももちろん必要ですが、何よりも男性は仕事、女性は家庭などの固定化している性別役割を社会全体で払拭する男女共同参画の推進が不可欠であると考えます。

男女どちらもが仕事も家庭責任も果たせるような、つまり男性の長時間労働解消、育児・介護休業の取得促進、女性の安定雇用の確立、男女の賃金格差是正など、ジェンダー平等の視点での働き方の見直しや多様な家族の在り方を認める制度を整えていかなければ、日本の少子化に歯止めは掛からないでしょう。

また、国連開発計画が発表するジェンダー・エンパワーメント指数でも日本は大きな後れを取っています。国際的共通課題となっているジェンダー平等の推進も重要な課題です。

このような日本の国際的に恥ずかしい状況をどうとらえ、少子化対策に不可欠な男女共同参画社会推進にどうとりくまれるのか、総理の見解をお聞かせください。

21世紀は人権の世紀と言われ、あらゆる差別の撤廃とすべての人の人権確立の努力が続けられています。しかし、我が国では、刑務所や入国管理施設における公権力の濫用、同和問題を始めとする差別や子ども虐待、女性への暴力などの人権侵害が後を絶ちません。

しかも、人権侵害被害者が迅速に安心して救済を受けられる制度が確立していないため、多くの被害者が泣き寝入りを余儀なくされています。例えば、セクシュアルハラスメントの被害者は、強姦、強制わいせつといった犯罪の被害者であるにもかかわらず、訴えることができず退職に追い込まれています。DV被害者は、警察の統計によれば、3日に1人の女性が夫によって殺害されているという状況にあります。(発言する者あり)夫によってです。こうした実態は、女性に対する暴力が人権侵害であることすら認められていないからではないでしょうか。人権侵害救済機関の設置は喫緊の課題であります。

これについて日本は、7年も前の1998年に国連国際人権自由権規約委員会から、独立性を確保した人権侵害救済機関を設置するよう勧告を受けているのです。

にもかかわらず、さきの通常国会も、自民党内の反対意見により小泉総理は指導力を発揮しないまま法案提出が見送られてしまいました。自民党のマニフェストでも本気さは全く感じられません。人の命と人間の尊厳が踏みにじられているのです。

民主党は、かねてより国内人権侵害救済機関の設置について積極的にとりくんでおり、さきの通常国会に人権侵害による被害の救済及び予防等に関する法律案を提出しました。法案は実効性と独立性を確保した救済機関の設置などを定めるものです。早急にこの法案を成立させなければなりません。
政府・与党は、いつまでにどのような人権侵害救済機関をつくる考えなのか、小泉総理の見解を伺います。

以上、教育を中心に質問をさせていただきました。
神本議員
神本議員
私たち大人のだれもが願っていること、とりわけ保護者、保育者、教職員、施設やNPOなどで子どもと直接むき合ってサポートしている人々が求めているのは、子どもたちが笑顔を輝かせながら自らの力で未来を切り開いていってくれることです。そのために政治は何をしなければいけないのか、また何をしてはいけないのか。

現在の子どもたちの状況は、大人による子どもへの支配強化や伝統・文化の押し付け、国家意識の高揚などで乗り切れる事態ではありませんし、やってはいけないことです。虐待、子ども買春など大人社会のひずみの中で子どもの人間としての尊厳がいかに傷付けられているか、なぜ独りぼっちで見捨てられているのか、健やかな成長が阻まれているこの現実を真剣に見詰め、すべての子どもが大切にされる社会をつくることこそが政治の役割ではないでしょうか。

子どもたちを大切にするということは、子どもたちを育てる人たちをサポートすることでもあります。子育ても教育も、子どもの力を信じ、大人の権威を振りかざすことなく、大人自身も子どもからエネルギーを受けながらともに成長していく信頼関係が必要です。

民主党は、米百俵や子どもは社会の宝、国の宝などお題目を唱えるのではなく、子どもの育ちと教育を社会の中心課題に据え、すべての施策に子どもを最優先するいわゆるチルドレンファーストで最善の環境づくりに全力を尽くしてまいります。

最後に、子どもたち、いわゆるチルドレンは決して権力に支配される存在でもなく、やゆの対象でもないということをあえて総理に申し上げ、私の質問を終わります。
小泉純一郎・内閣総理大臣
神本議員に答弁いたします。
教育の現状認識とその対応でございますが、現在、学力の低下や校内暴力の発生といった我が国の教育の現状、これは憂うべきものであると思っております。深刻に受け止めなきゃいけないと思っております。

今日の日本の発展、これは教育に負うところが多いと思います。資源のない日本がなぜこのように発展してきたか。これは教育を重視してきたからだと思っております。わけても、これから将来を担う子どもたち、正に社会の、国の宝であります。これからも充実した教育環境の整備に引き続き精力的に取り組んでまいります。

教育基本法についてでございますが、これは根本にまでさかのぼった見直しが求められていると考えておりますが、国民的な議論も必要であります。

この教育基本法について国会でどのような調査会を設置するかということでございますが、国会でどういう調査会を設置しなきゃならないかということについては、各党で十分協議をしていただきたいと思っております。その国会の判断を尊重したいと思います。

義務教育改革の方向でございますが、国は教育というものに対して常に国政上の最重要課題と位置付けております。全国的な教育の水準確保、そして機会均等についての責務をしっかりと担っていかなきゃならない問題であります。地域や学校、この創意工夫を生かせるように、教育の地方分権を進めて、市町村や学校の裁量を拡大することも重要ではないかと考えております。

現在、中央教育審議会において、義務教育の在り方全般について国民各層の幅広い意見を聞きながら審議が進められておりまして、本年秋に得られる結論に基づき、義務教育改革に精力的に取り組んでまいります。

少子対策と男女共同参画の推進でございますが、これまでも我が国においては少子化対策に取り組んできたものの、いまだ子育てと仕事の両立には多くの困難がある状況だと認識しております。男女共同参画の推進、少子化対策と軌を一にするものでありまして、今後ともこの問題について積極的に進めてまいります。

人権救済制度でございますが、自民党は今回の総選挙に際し、政権公約において、簡易・迅速・柔軟な救済を行う人権救済制度の確立を公約しております。政府・与党内で更に検討を進めまして、人権侵害被害者の実効的な救済を図ることを目的とする人権擁護法案をできるだけ早期に提出できるように努めてまいります。
残余の質問については、関係大臣から答弁させます。
中山成彬・文部科学大臣
義務教育への投資についてのお尋ねであります。
教育に対する公財政支出につきましては、諸外国の状況を十分踏まえて検討していくことが必要でありますが、単純な比較は困難な面もあると考えております。

いずれにいたしましても、教育は国家社会存立の基盤であり、特に義務教育につきましては、国が責任を持って充実を図ることが極めて重要であると考えております。

来年度概算要求に当たりましては、全国的な学力調査の実施、学校評価システムの構築、第八次教職員定数改善計画の策定、実施など、義務教育改革を推進するための各般の施策を盛り込んでおるところでございます。

今後とも、必要な教育予算の確保と義務教育改革の推進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
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