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国会活動2005年
2005年3月18日(金)
内閣委員会
平成17年度一般会計、特別会計、政府関係機関予算についての委嘱審査
[PDF・89KB]
神本美恵子参議院議員(以下、神本議員)
神本議員
神本議員
今日は、予算の委嘱審査ということで、国会所管と会計検査院所管についても本委員会で審議をするということですので、まず初めに会計検査院についてお伺いをしたいと思います。

ただいま説明にもございましたが、会計検査院の機能と検査体制の強化ということが御説明にございました。昨年11月に早期提出をいただきました平成15年度決算検査報告、この中でもかなりのページを割いて、特定検査対象ということで、都道府県警等における捜査費及び活動旅費等の経費について記載がございました。また、NHKに対しても、職員が5千万円余の現金を領得したということでの不当事項の指摘がございました。
検査院が、限られた陣容の中でこれだけの検査報告をなさって、税金の無駄遣いを許さないという精力的な検査活動を行われた結果であろうというふうに受け止めております。そういう意味で、検査院の皆さん方の御苦労には心から敬意を表したいと思います。

そこで、まず警察の捜査費についてでございますけれども、民主党は、この問題が起きた当初から、警察の不正経理問題ということで対策プロジェクトチームをつくりまして厳しく追及をしてきたところでございますけれども、またこの内閣委員会でも、昨年、九州管区及び福岡県警本部にもこの会計帳簿の廃棄問題を中心に調査に参りました。

私たちは、警察OBや現職警察官の方々の証言、そういったものをつなぎ合わせまして、その手口といいますか手法といいますか、が警察の捜査費を使って裏金づくりをされてきたのではないかということについては、もう北海道、福岡については明らかになっておりますが、全国的にこれが行われているのではないか、根深いものではないかということの疑いといいますか、疑義を依然として強く、ますます強くしているということも申し上げたいと思います。

そのことが、今回の検査報告の中にもはっきりと出てきているというふうに思っております。検査報告の中には、慣行的、組織的に行われていたことは極めて遺憾というふうに掲記されております。このことからも、組織的というのが幾つかの都道府県だけではなくて全国的に行われているのではないかというような検査院の心証といいますか、そういったものを私は読み取れると思います。

そこで、今回の報告では13都道府県警に対する実地調査の報告でございましたけれども、その後、現職警察官、愛媛県警の警察官の方からも内部告発がされて、同じような手口の不正経理が既に報道されております。検査院として、今後、検査未実施の県についても更に実地検査を行われる方針がおありかどうか、またその結果を国会にきちんと報告をしていただきたいと思いますけれども、その点についてお伺いしたいと思います。
森下伸昭・会計検査院長
森下院長
森下院長
ただいま神本委員から昨年の会計検査院の警察の捜査費に対する検査活動、それからその結果の検査報告につきまして高い評価をいただきまして、大変ありがとうございます。非常にこれから検査を進めていくに当たって士気が高まるものというふうに思います。

それで、これからの検査の進め方でございますが、昨年、13都道府県について検査を実施したわけでもございます。本年も引き続き同様の観点から捜査費等に関する検査を実施していきたいと考えております。警察当局において調査中の事案につきましても、その結果の報告を受けてその内容を検証していくということを引き続きやっていきたいというふうに思っております。

それから、13都道府県以外の都府県警察の捜査費等につきましても、同様に、引き続き必要な情報を収集するなどして厳正な検査を行っていくとともに、昨年中に警察当局が取りました改善策の実施状況も併せて検証していくということで、警察の捜査費等に対する検査、これからも厳正に進めていきたいというふうに考えております。
神本議員
全国的にきちっと調査をすべきというのは、この委員会では昨年から与野党を問わず、ここにいらっしゃる西銘委員も昨年の質問の中でも強く要請をされたところでございました。委員会全体の要望でもございますので、重ねて申し上げたいと思います。

それから、その検査の、実地検査を行われたときの報告の中に、やはり受ける側の警察本部の、例えば証拠隠滅とも取れるようなものとか、必要な会計書類が年度を越えてもうないとか、そういったことに対する悔しさも、検査院の方々の悔しさもにじみ出るような報告を私は読み取りました。

そこで、この関連で警察庁に伺いたいと思いますが、私は本当は警察庁長官に決意を伺いたいんですけれども、今日は官房長がおいでになっておりますので、お伺いします。

この会計書類の保存ということで昨年報道もされましたし、この委員会でも何度も取り上げました。期限が来ていないのに保存期間前の書類が廃棄されているというようなことがございました。これは、この不正経理問題で保存期間を延長するという通知が、通知といいますが、それが後で分かったのは口頭通知だということにもまたあきれ返ったんですけれども、昨年、たしかこの時期だと思いますが、通知が出されたにもかかわらず期限前のものが廃棄されたというようなことがありました。こんなことがありますと、会計検査院が幾らまじめに検査を、実地検査をして、きちっと税金の無駄遣いがないか、不正な使い方がないかということを調べようとしてもできないわけですよね、証拠書類がないと。

そういう意味で、会計書類の廃棄、亡失がないようにということに対する警察庁のお取組と、それから会計検査院の実地検査に対して、昨年、一昨年ですか、の北見、北海道の北見でのあんな出来事が二度とないようにと、誠実に協力するということについての御見解をお伺いしたいと思います。
安藤隆春・警察庁長官官房長
安藤官房長
安藤官房長
文書の保存ということにつきましては、今委員御指摘のように、昨年3月24日に保存の継続の指示、連絡を行っておるわけでありますが、今御指摘のように、まあ急を要したということで、電話で指示をさせていただいて、その後いろいろ徹底させたんですが、残念ながら、その後文書廃棄が一部あったということで、誠に遺憾な事態になったわけでありますが、それを踏まえまして、昨年、再発防止策というのをかなり徹底したものを打ち出しまして、現在、それに基づいて各県はやっているわけでありますが、御指摘の会計文書の保存の扱いということでありますが、これは去る2月に警察庁の方から、今回はもちろん文書で各県に指示をいたしまして、その中身は、別途指示、連絡があるまでの間、一つは昨年3月24日に保存の継続の指示、連絡を行った会計文書、すなわちこれは平成10年度の会計文書ということでありますが、もう一つは本年3月31日に保存期間の満了します会計文書を保存するよう各都道府県警察に文書で指示したところでございます。

したがいまして、昨年の非常に反省を踏まえまして、絶対にそういうことがないように、さらに、一回だけの指示ではということもございますので、本日、念のために更にもう一度各県に保管を徹底するような、保管を徹底する指示を文書で発出いたしました。そういうことで、我々、更にそういう保管徹底に対して最善の努力をしてまいりたいと思います。

それから二つ目の御質問は、会計検査院に対する我々の対応と、警察の対応ということでありますが、これまでもできるだけ会計検査院の検査に対しましては誠実に対応してまいりましたが、昨今のこういう一連の不正経理事案というものを踏まえまして、より警察としましては会計検査院の御要望にこたえられるように最大限の協力をしてまいりたいということでございます。
以上でございます。
神本議員
是非、残った13都道府県以外の都道府県は、特に廃棄、亡失がないように徹底をしていただきたいということをお願いしたいと思います。

もう一つ、NHK関連で会計検査院にお聞きしたかったんですが、南野大臣が法務委員会の関係でいらっしゃらなくなるということですので、ちょっと後に回させていただきたいと思います。

次の、私、今日お伺いしたいのは、人身売買問題について政府として今、今国会にも法案を提出されておりますし、行動計画も昨年末に策定をされて、これから本格的な取組が行われると思いますので、それに関連してこれから御質問させていただきたいと思います。

実は、私は、昨年の8月末から9月初めにかけてタイとカンボジアに人身売買に関するスタディーツアーに参加をいたしました。その中で、タイ政府は、人身売買の送り出し国、中継国、また受入れ国といいますか目的地国として大変な人身売買問題を抱えている国ということで、政府挙げて、特にタクシン首相の強いリーダーシップの下で、政府挙げての法整備やハイレベル会議を設置したりして取組が行われているということもお聞きしてまいりました。

様々なことを学びましたが、その中で特に私は印象というか、鮮烈な印象を受けたのは、タイとカンボジア国境のマーケット、市場ですね、大きな市場があったんですけれども、そこで劣悪な環境の中で働いている小さな子どもたち、幼い子どもたちの働く姿でありました。もちろん、その背景には貧困ということがあって、日本の青少年とは一概に比べられるものではありませんけれども、その子どもたちが不衛生な中で、イナゴの、何というんですか、バッタ、バッタかイナゴの羽をむしって、その身をビニール袋1袋4バーツ、12円ぐらいですね、それを一日掛けて何袋分かやって、それを売って、カンボジアの自分の国境近くの村に帰って家族の食費にするというような、しかも2、3歳の乳飲み子を連れ、お兄ちゃんが連れてきて、あるいはお姉ちゃんが連れてきて、そこのどぶで遊ばせながらそういう作業をしているというような姿を見てきました。

で、そういう働かされ方と、まあ働き方と同時に、その中から女の子や男の子がバンコクにブローカーにだまされて連れていかれて、またそこで性的搾取を受けたり不当な労働搾取を受けたりしているというようなお話をNGOの方たちから聞きまして、やはりこの人身売買問題は子どもということにも視点を当ててやっていかなければいけないなという意味で、まず最初に南野大臣にお伺いをしたいと思います。

その前に外務省にと思ったんですが、日本政府はユニセフからも警告を受けています。日本に送り込まれている人身売買の犠牲者には18歳未満の子どもたちも含まれているということです。その問題の根源は貧困にあることは先ほど言いましたように明らかなんですけれども、人身取引補足議定書というのを今回政府としては批准するために法整備が刑法等で行われるようですけれども、昨年、あっ、昨年じゃないですね、今年です、今年の1月24日に児童の売買等に関する児童の権利条約選択議定書も日本は批准をして、2月24日に発効したというふうに外務省の方からお聞きしました。

そういう状況の中で、青少年育成担当大臣として南野大臣はとりわけ子どもたちの問題には心を寄せていただいていると思いますけれども、外国から連れてこられている子ども、何人ぐらいいるか、どういう状況なのかということはなかなか実態は把握できていませんが、そういった子どもたちの権利保障という点から考えて政府としてどのようにとりくむべきだというふうにお考えか、お伺いしたいと思います。
南野知惠子・青少年担当・法務大臣
南野大臣
南野大臣
今先生がおっしゃられたような開発途上国における状況ということは、私も目の当たりにしたことがございます。胸を痛めたことがございます。

そういった気持ちも根底にありながら、今先生がおっしゃいました議定書の問題も、これは国対国として進めていくことでございますが、私といたしましては、言うまでもなく人身取引という被害は本当に深刻な問題であり、精神的、肉体的な苦痛をもたらすということは、もうこれ当然十分なる理解を持っております。まして被害者が子どもである場合、男の子であっても女の子であっても本当に苦痛の深刻さは、その回復ということも当然ですが、成長に大きな影響を与えるものであろうというふうに思っており、決して許されるものではないというふうに思っております。

児童の権利条約の理念にもございますように、国籍にかかわらず、すべての子どもが性的搾取等の被害から守られることはもとより、その人権が最大限尊重される社会を目指すことは政府として取り組むべき最重要の課題であると心得ております。青少年育成担当大臣としてでも、このような子どもの人身取引や、また児童買春根絶にむけまして、昨年12月に策定しました人身取引対策行動計画に基づき、取締りの徹底や被害者の保護など、関係省庁と密接に連携し、政府としての総合的な施策に一層取り組んでまいりたいという覚悟を持っております。
以上でございます。
神本議員
じゃ、これ質問じゃないんですが、南野大臣、お出になる前に是非お願いしたいんですけれども、青少年白書を見せていただきました。この中で、こういった問題について触れられているかなというふうに見たんですけれども、まあちょっとだけ記述はあるんですが、なかなか今おっしゃったような、本当に外国から連れてこられた子どもたちの、見えないけれども、その子たちに対する子どもの権利という面からのアプローチがこの白書の中に見受けられませんので、是非青少年育成大綱の中にもそういった人身売買で連れてこられた子どもたちの学習権、それから生命の安全といった面からも是非取組をお願いをしたいと思います。ありがとうございました。

それでは次に、今度は政府全体のことで細田官房長官にお伺いをしたいと思います。
政府が今回、この人身取引問題で大きな取組の前進を図ろうとしていらっしゃることには一定の私も評価をしながら、注目をしたいと思っています。

こうなったきっかけといいますかは、昨年アメリカの国務省が報告書を出しまして、その中で、日本は人身売買の根絶のための最低基準を満たさないばかりか、そのための対応も不十分な国ということで、一、二、三類、三つに分類されるうちの最初は第三類、一番悪いところに位置付けられそうなのが、政府がちょっと前むきに去年から取組を始めたということで第二類になったというようなことも解説で読んだんですが、いずれにしても先進国と言われる国の中では日本とロシアだけと言われる監視対象国になっているということが一つ大きな後押しになったのではないかというふうに思います。

それはそれでよしとはしますけれども、なぜここまで対応が後れてきたのかということについて私はお伺いしたいと思います。80年代ごろからこの人身売買、人身取引については国際的には大きな問題にされてきたということは日本政府としても承知だと思いますので、そういった点から、なぜここまで後れたのかということについて、官房長官、いかがですか。
細田博之・内閣官房長官(以下、細田官房長官)
細田官房長官
細田官房長官
人身取引の事実については、大分前からそういったことがあるという指摘が行われてきたことは事実でございます。そして、我が国としては、平成14年の12月に人身取引議定書に署名をした後、できるだけ早期に議定書を締結するために各関係省庁が連携してまいったわけでございます。これを遅いと言えば確かに遅いとも言えるわけでございますが、そして、平成15年の12月に犯罪対策閣僚会議が策定した行動計画におきましてはっきりと検討を進めることといたし、そして昨年の12月に人身取引対策行動計画を取りまとめたわけでございます。

着実にはやってきておりますけれども、私は、官房長官に着任したときに、これはやはり相当根が深く奥が深い、しかも国際的な犯罪であるということから、もう徹底的な究明を図るべきであると。それは、例えば麻薬の問題ですとか、売春全体の問題であるとか、暴力あるいは組織暴力の問題とかいろいろ絡んでおる問題でもありますが、その中で特に、国際的な問題でもあり、また人権じゅうりんの度合いの最も大きな人身取引対策に取り組むべきであるということを主張いたしまして、今最も大きな課題の一つとしてこれを一掃すべく様々な対策を今展開しておるところでございます。
神本議員
今、人身取引補足議定書にも署名をして、それは2002年ですから、そのころからかなり国内的にも目がむけられるようになったと思いますが、実はこれは週刊誌の記事なんですけれども、この議定書の採択以前から外国人エンターテイナーに対する興行ビザ、この興行ビザで入国した人たちが人身取引の犠牲になってその温床になっているのではというようなことを考えた法務省の入管局の方がいらっしゃるんですね。

これは東京入管の局長のお話なんですけれども、1995年ごろからこの興行ビザで入ってきた人たちが風俗店で、本当はダンスや歌をするという興行ビザで入ったにもかかわらず、接客やそれから性的搾取の犠牲になっているのではないかということで、そこにメスを入れようと徹底的な追跡調査をされたということがこの週刊誌に載っています。しかし、この方のおっしゃっていることで私も確認はもちろんできていないんですけれども、この記事の中には、そういう取組をしようとしたら、業界や、それから政治家と書いてあるんでこれはちょっと問題だなと思うんですけれども、業界や政治家からの圧力でそれがなかなかできなくなったというようなことも書かれてございます。

この方が調査した中では、1995年、東京入管にいたときに、場所は書いてありませんけれども、そういう風俗営業店の店舗444店を立入調査したところ、その9割以上の412店でホステス活動、いわゆる興行ビザですから不正、不法行為になるんですが、が行われていたと。ショーなどは全く行われていない。94年は年間9万人だった興行資格で入国する外国人が次の年には5万9千人にまで落ちた。これは、そういう立入調査をしたことで落ちたんではないかというふうにこの局長さんはおっしゃっているんですけれども。でも、そういったことをやった後に脅迫電話が来たり、罷免請求運動、損害賠償といった訴訟、あるいはえたいの知れない怪文書がこの永田町に大量にばらまかれたというようなこともこの週刊誌には書かれております。

そういう圧力が影響したのかどうかはもちろん何ともはっきり証拠があるわけではありませんけれども、なぜこういう興行ビザで入った人が不正に働かされているというような、あるいは働かせているというようなことを摘発するような取組がこれまでなされてこなかったのかということが私は不思議なんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
蒲原正義・法務大臣官房審議官(以下、蒲原審議官)
蒲原審議官
蒲原審議官
お答えいたします。
これまでなされてこなかったのではないかというお尋ねと理解いたしましたけれども、入管局といたしましては、その後も継続して実態調査及び摘発の努力を行ってきております。
神本議員
行ってきておりますでは、どういう調査を行って、その結果どうだったのかということが分からないんですが。
蒲原審議官
昨年一年間の事例をちょっと御説明させていただきますけれども、昨年は124か所、これ、東京入管の行った件数でございますが、124か所の出演店の実態調査を行っておりまして、そのほとんどの店舗において外国人芸能人の接客行為、基準省令で定められている日本人社交員の不足等の事実をつかんでおります。
神本議員
それは昨年ですか。じゃ、これまで、坂中局長という方なんですが、この方がされたのは94年、5年ごろなんですけれども、それ以降、入管としてこういった調査がどのくらい行われて、その結果そういう不法行為が摘発されて立件されたとか、そういう資料がちょっと私は全然見当たらないもので、これまで取組がなされてこなかったんではないかという意味でお伺いしているんですけれども。
蒲原審議官
必ずしもすべてを統計的に整理しておるわけではございませんけれども、毎年調査は継続してまいっておりますし、毎年摘発も行ってきております。
神本議員
それで、これにかかわるような調査の状況というのは、調査といいますか、被害の状況というか、実態が分かるのは、警察白書を見せていただいたんですが、この件で質問するために今の人身取引の、トラフィッキングの検挙状況ということでお話を伺いました。その前の、伺ったのでは、過去5年ぐらいの分のがあったんですが、平成12年、2000年が、トラフィッキングで検挙され、その被害者と見られる対象女性の総数が104人、平成13年、2001年が65人というふうになっていたんですね。

一方、その警察白書の中にそういった記述がないかというふうに見たんですが、それで見ますと、2002年の警察白書によると、風俗関係事犯において被疑者又は参考人として取り扱った外国人女性の国籍・地域別状況にある対象女性の総数として、2000年が1,190人、2001年が1,193人というふうになっているんですね。これはもちろん被疑者と参考人ですから、検挙された人員とその被害者と見られる女性の数とは全部一致はもちろんしないのが当然だと思うんですけれども、けたが余りにも違わないかと思ったんですね。警察白書に書かれているのは1,190人、1,200人ぐらい、それがトラフィッキングの検挙状況でいただいたのは100人未満ということで、これはどうなっているのかなと思ったんですけれども、そこはどうなんでしょう。
伊藤哲朗・警察庁生活安全局長(以下、伊藤局長)
伊藤局長
伊藤局長
今御指摘のございました平成13年中に風俗関係事犯として被疑者又は参考人ということで取り扱った外国人女性は1,193人となっております。その年の人身取引被害者の数は御指摘のように65人ということで、大きく数が違うわけでございますけれども、御承知のように、人身取引議定書におきましては、人身取引とは搾取の目的で暴力、欺罔等の手段を用いて人を収受する等することであるとされておりまして、この風俗関係事犯の被疑者又は参考人の中にはこの定義に当てはまらない者も相当数含まれているということも事実でございます。

また、もう一方、人身取引事犯の被害者でございましても、ブローカー等から、警察に保護を求めれば、母国に残した家族に危害を加えるとか言って脅かされたり、あるいは警察に行っても無駄だぞというようなことで虚偽の情報を吹き込まれているなどしている者もおるわけでございまして、自分が人身取引事犯の被害者であることを警察に正直に申告しない者も多くいることも推定されるところであります。これらのことから両者の数に違いが出てくるんではないかというふうに考えております。

警察といたしましては、人身取引の被害者の把握はその保護を図るために重要な課題であるというふうに認識しているところでございまして、被害者の可能性のある外国人女性の事情聴取に当たりましては、まず、被害者ではないかとの認識の下、できる限り当該外国人女性の母国語を解する警察職員であるとか女性警察職員を充てるなどして被害者の的確な把握に努めているところでございます。
神本議員
今、正におっしゃったとおり、正直に話せない。それは、パスポートを取り上げられているとかビザが切れているとか、それから禁止されている売春をさせられているというような、本当に、そして常に監視されている、大きな借金を背負わされているという、もう正に被害者であるがゆえに正直に物が言えない状況になっている。しかも、警察も入管も今の法体系の中では、それは不法行為をしている、違法者ですからということで犯罪者としてしか取り扱ってこなかった結果だと思うんですね。

ですから、今おっしゃったように、これからは被害者ではないかということで事情聴取に当たるというふうにおっしゃいましたが、私は、被害者ではないかではなくて被害者であるという認識でやらないと、被害者ではないかというぐらいではこれからの取組はうまくいかないといいますか、本当にこの議定書が求めている取組にならないのではないかということを指摘したいと思います。

それで具体的に、では今回の人身取引、人身売買問題に対する取組ということで、刑法の改正で人身売買罪がその中に位置付けられ、また罰則も重くされ、子どもに対しては更なる加重罰が加えられるというようなことが刑法の中では行われますし、また風俗営業法の改正の中でも風俗営業店に対してそういう不正な働かせ方をしないようにというようなことの改正が行われるというふうに聞いております。この両案の法案成立とそれから行動計画でもって政府がとりくもうとしている、それでもってこの人身取引議定書が求める要件といいますかは満たせるというふうにお考えでしょうか。これ、官房長官、いかがですか。
細田官房長官
まず第一歩でございまして、こういった法制度もしっかり整備すること。そして、外国とも交渉しております。入国の審査に当たって、この芸能等を目的に入国するということであるけれども、実は脱法的なケースもあるし、もっとひどい例では人身取引の例もあるので極めて厳しく今後は扱いたいと、要件を強化したいというようなことをしてむこうの政府と協議しておるような例もあります。先方政府の一部には、いや、もう働く場を求めているんだから働く場を提供してくれというような反論があったりもするわけですが、それもむしろこちらからは強力に否定して、そういうことでやっておるとどうしても大きな被害が出ることも事実であるし、あるいは日本の刑法に当たるような様々な、例えば売春等の罪に当たる場合になる可能性もあるので、したがってきっちりと入国管理もいたしたいと。そしてまた、同時に、本当に被害があって駆け込む人というのがどんどん増えているわけですから、そういう人に対する措置もとると。

多角的に今着手しておるところでございますので、国際的な基準を満たしているかと、あるいは人身取引の国際的な標準から見てどうであるかという御質問でありますけれども、できる限り厳しくしてまいりたいと思っております。
神本議員
神本議員
神本議員
入口で厳しくして、中でもまた厳しくすると。もちろんこういう人身売買をしている人たち、している人たちですね、その人たちに対してはこれまで以上に、これまではほとんど野放し状態と言ってもいいぐらいの日本の国内状況だと思いますので、それは是非厳しくしていただきたい。しかし、その被害者になっている人たちに対しては、これまではどちらかというと被害者である人たちに厳しく、その被害を強いていた加害者は野放しになっていたわけですから、被害者に対しては徹底的にこれまでの認識を180度転換してやらなければいけないと思うんですけれども、それをやるには、私は行動計画もつぶさに読ませていただきましたけれども、その中でこの大転換ができるのだろうかという疑問を持ちました。

ですから、私の結論からいいますと、民主党内でも今議論をしているんですけれども、もっと包括的に加害者の処罰、加害者の取締りと、それから人身売買を防止する取組と被害者の保護ということを包括的に考えた政府としての大きな取組が、そういう法律制定が必要なのではないかというふうに私は思っております。具体的に、じゃ、今作られています行動計画が私は不十分ではないかなという疑問を持ちながら幾つか質問をさせていただきたいと思います。

まず、そういう180度、犯罪者ではなくて被害者であるという認識、とらえ方を実際に捜査なり入管で審査に当たられる方たちに、どのように職員に周知をするのか、認識転換をですね。それが一つと、それから、まずその人が被害者であるのかあるいはそうではないのか、自らの意思で、自らの意思というのもちょっと難しいと思うんですね、見るのが。あるいは正直に言えないで言わされているという場合もありますので、被害者であるか否かの認定。それから、被害者、被害当事者、当事者に、あなたたちは逃げていいんですよ、保護を求めに来ていいんですよ、自ら警察なり大使館なり相談所なり入管なり、いろんなところに逃げて、ここに逃げていって助けを求めていいんですよということを周知する。どのように周知するおつもりですか、その三点について。
伊藤局長
まず、警察としての取組をお答えしたいと思いますけれども、警察では、売春等風俗関係事犯で被疑者又は参考人として外国人女性を取り扱う際には、当該女性の関係国大使館等とも連携を取りながら、当該女性の供述などを基にしまして被害者であるかどうかの判断を行っているところであります。

また、被害女性が交番などへ駆け込んで保護を求めてくることも考えられますことから、警察職員に対しましては、人身取引についての教養資料であるとか広報啓発ビデオなどの資料を配付してこれを見せるなどしまして、被害者保護の重要性についての周知徹底を図っているところであります。また、人身取引事犯捜査担当者を対象としました全国規模あるいは都道府県単位の研修も実施しておりまして、被害者としての保護が一層的確に行われるよう努めているところであります。

また、被害者への周知ということについてでございますけれども、関係省庁やNGO、人身取引被害者が多い国の大使館等と連携をしながら、被害者に警察が保護する旨を呼び掛けるリーフレットを現在作成しているところでありまして、完成後はこれを広く配布することによりまして人身取引被害者への周知に努めてまいりたいと考えているところでございます。
神本議員
また、行動計画では実態把握の徹底というふうにあるんですけれども、どのようにして実態を把握するのかというのがその行動計画では見えてこないし、ちょっと担当の方にも何度かお話をお伺いしたんですが、それでもよく見えてこない。この実態把握というのは国際的にも、ほかの国でもなかなか難しいということで言われております。

ですから、これについては様々なノウハウとか様々な立場の人たちの協力でやらないとできないと思うんですけれども、例えば大使館であるとかNGO、これまでとりくんできたNGOであるとか、あるいはユニセフやILOなどの国際機関なども含めて、そういうところと協力しながら定期的に実態調査をどのような方法でやるのかというようなことも含めてやる必要があると思うんですけれども、それについては、この実態把握の徹底はどのようにされるおつもりなのか。どなたにお伺いしたらいいんでしょうか。
伊藤局長
それでは、警察としての実態把握のやり方ということについて御説明をしたいと思います。
一つは、警察は様々な活動の中で、もちろん売春事犯でありますとか風俗関係事犯というものの取締りを行っているわけでございまして、その中で外国人女性が発見された場合に、この人が被害者ではないか、あるいは単純な、被疑者の場合もありますし、いろいろなケースがあるわけでございますので、そうした際に被害者ではないかという観点でいろいろ事情を聴くということをまず一つやっているということがございます。

それと、もう一つは、そうした捜査という場面ではございませんけれども、外国の大使館や国際機関、NGO等といつも連絡を取って情報収集に当たるということも行っているところでございまして、平成15年12月に、人身取引に関係する国の在京大使館、国際機関、NGO等と警察庁との間にコンタクトポイントというものを設けておりまして、人身取引事犯についていつでも情報連絡が取れる体制を構築しているところであります。そういった意味で、常にそういった国との情報交換というものを行っているという状況でございます。
細田官房長官
これまで人身取引の被害者等が駆け込んだり、本当に大きな被害に遭って被害の届けが出たりする場合は、ほとんど芸能で入ってくるんですね、ビザが。したがって、この元を絞らなくちゃいけないということから、今法務省、関係省の協力によりまして、芸能で入るということ自体が極めて疑わしいケースが多いじゃないかと。芸能で入ったけれども、後で実は管理しているような者がおって、人身取引で監禁をして強制売春をしたりするケースもありますし、そうでないケースでも、実際は売春等のほかの方に走って、あるいはそういうふうに仕組まれてそちらの方に行ってしまうという場合があって、芸能といっても、ただ皆さんに踊りを見せたり歌を聞かせたりしてそれでお金が取れるという人の割合は極めて少ないんじゃないかという認識を持っているわけですね。したがって、ここでまず入国の方のビザで徹底的に絞ろうということで今対応しておる。これがまず一つですね。

だから、過去に芸能で入ってきた人が何人いるかといっても、これが本当に人身取引の対象であるかどうかということを見ることは非常に難しいわけです。

もう一つは、警察の方で今よくやっておりますけれども、歌舞伎町なら歌舞伎町を実際に具体的に調査をする。そして、何とかのクラブに入り込む。そこに外国人がどれだけいて、どういう状態であるか、人身取引はあるのかないのか、売春はあるのかないのか、外国人はどういう実態かという、それぞれ調べなければ、また実際のこの実態は調べられないわけでございますから、これは先ほど警察庁、部長からもお答えしたとおり、警察が協力をしてもらうということ、この問題意識できつく取り締まってもらうことが最も最善の道であろうかと思っておりますので、関係省庁でそういう打合せをしつつ、片方でそのような強制をする者等についての罰則を強化したり、そしてビザについての入国管理を強化をしたり、そして駆け込み、被害者については民間シェルター等、今までは被害者であるというとそれだけ不法滞在で追い返すような実態がありましたけれども、それでは事がかえって済まないといいますか、適当な対応でないということから、シェルターの一時保護委託制度等の措置をとると、こういうことを総合的に対応しておるわけでございます。
神本議員
今、警察庁とそれから官房長官の方からは、法務省、入管の取組を中心にお話をしていただきましたけれども、私は、協力してと言いながら、それぞれの分野もちょっと違いますし、実際に立入り捜査をする、そして立件するという警察と、入口、出口でやる入管、法務省の関係と、だからそこが常に連携をして、情報を交換しながら、またこれには外務省も大使館関係で入っていただかなければいけないでしょうし、今関係連絡省庁会議というのが開かれ、関係省庁連絡会議ですかね、というのがつくられまして、そこで開かれているというふうにお聞きしているんですけれども、そこが、じゃ、そういう実態調査、実態把握をどのようにするということまで話合いをして、定期的に調査をしていくというふうになっているのかというと、どうもそうではないということなんですね。

ですから、私は、先ほども言いましたように、そういう実態解明ができるようなチームをつくるなり、それぞれから出して、定期的に実態解明に努めるということをやる必要があるのではないかというふうに思いますので、これについては昨日レクでずっといろいろお話合いしましたけれども、どうもいい返事が、いいというか、来なかったんですね。そこを官房長官、是非今の体制の中でできる実態解明ということでやっていただきたい。

官房長官がおっしゃった、興行ビザだけでも、既に入ってきている人、今度ARBをなくして厳しくしたにしても、今来ていらっしゃる方たちで13万人、今、日本国内に興行ビザで入ってきていらっしゃるんですね。その方たちがもしかしたら本当に、何割、どのくらいの人がその被害者としてひどい目に遭っていらっしゃるかというのを分からないわけですよね。こっちはそれを捕まえればいいということではなくて、まず被害者を救出しなきゃいけない、被害者を救出するためにはどういう実態になっているのかということをつかまなきゃいけないと思うので、これはもう是非強力にやっていただきたいと思うんですけれども、いかがですか。
細田官房長官
様々な角度から強力に取り組んでまいりたいと思います。
今言われましたように、非常に膨大な数があって、その中には確かに仕事をして、いわゆる水商売だということで、日銭を稼いで、それをふるさとに金を送金しているという人も確かにおられるわけです。しかし、その中に大変な悲劇も起こっておるということで、今そういった実態が増えてきている。この数はまだまだ毎年百人前後、そういうことで表に出てきておるわけですけれども、これもまた氷山の一角でありますから、何倍あるかというところがはっきりしないわけでございますので、今、神本議員のおっしゃったように、対策を強化してまいりたいと思っております。これは日本国のまた評価にもかかわることでもあり、もちろん人権の問題でございますので、取り組んでまいりたいと思います。
神本議員
今官房長官、力強くおっしゃってくださいましたので、是非関係省庁連絡会議の中で実態調査チームなりをつくって、省庁だけではなくて、先ほど言いましたように、NGOの方にもきっちり入っていただいて、インタビューのノウハウとか、どこに行けばどういう経路、ルートでブローカーに行き当たるとかいうことも御存じのNGOもあると思うんですね。ですから、そういったところも含めて、緊密な連携で実態把握に努めていただいて、一人でも二人でも被害者救出に努めていただきたいなと思います。

それから、今度は救出した後の保護にかかわってですけれども、もう残された時間が5分しかありませんので、もう何ともまとめようがないんですけれども。どうしようかな。あれもこれも言ってもしようがないですね。

じゃ、是非、実態解明の今のようなチームをつくっていただきたいということと、もう一つ、被害者の保護のために24時間ホットラインというものをどこかに、本当に安心して、こういう情報を得たら、ああ、助けを求めていいんだなということを知った人が電話をできる、あるいは駆け込めれば一番いいんですけれども、そういうものをつくる予定はありませんか。
鈴木基久・内閣官房内閣参事官
鈴木参事官
鈴木参事官
人身取引被害者の方がお困りのときにどのように行政あるいは警察等に対して被害を訴えるかということで、24時間コンタクトポイントというのも非常に有効な手段だと考えております。

そういう意味で、警察は、常に110番で人身取引被害者からの訴えがあれば、警察においては都道府県警察で対応するということになっておりますし、現在、先ほど警察庁の方から話がございましたが、警察とか、あるいはコンタクトポイントを明らかにしたリーフレットを、現在関係省庁お話をいたしまして、現在検討中でございまして、これを被害者の方に周知することによって、被害者の方々から、保護が必要な被害者の方々から保護をするべき行政機関に対して必要なコンタクトが取れるように取り計らってまいりたいというふうに考えております。
神本議員
本当にこれからの取組ですので、いろいろ工夫しながらやっていかれると思いますけれども、先ほども言いましたように、被害者を一人でも多く、一日も早く救出するという観点から行っていただきたいと思います。

官房長官は悲劇という言葉を使われましたけれども、その悲劇が子どもの場合はまた更に過重の悲劇になっているということを最後に御紹介をして、これは是非委員の皆さんにも御理解いただきたいし、それから日本社会全体がこういった人身売買、日本国内で行われているということを認識をしていただきたいし、それを許さないという土壌がないと、依然として性的な搾取をさせようとする。日本国内に需要があるわけですから、その需要を求めて供給されてくるわけですよね。ですから、社会全体でこれをとりくまないと、政府だけが幾ら躍起になっても解決できない問題だと思います。

ちょっと時間、残された一分間で、これは日本ユニセフ協会が紹介している「プンとミーチャのものがたり」という絵本なんですけれども、これはプンという女の子が、お父さん、貧しい家のお父さんが女の子を都会に働きにやってテレビを買いたいと。そのために親が働きに出させるわけですね、12歳の女の子。そこで、最初は洋服工場に行っていたんですが、もっと金になる仕事があるよと声を掛けられて、売春宿に連れていかれます。そこで売春を12歳の女の子がさせられて、そこにいた幾つか年上のミーチャという女の子と出会って、やっと肩寄せ合ってそこで何とか生きているけれども、耐えられなくて二人で逃げ出します。でも、そのときはミーチャという女の子はもう性感染症、エイズにかかっていて、逃げ出してやっと助けられたときにはもう何日かの命で、ミーチャはエイズで亡くなっていくんだそうです。その亡くなる最後にこう言ったそうです。「プン、わたし、あなたと会えてよかった。ここににげてきてからは幸せだったわ。でもね、わたし、夢があったの。あなたと一緒に学校に行って、勉強っていうことをしてみたかったな……」という、これは実際にタイであった実話を基にしてユニセフが作った絵本だそうです。

こういった子どもや女性が日々こういった目に遭って命を落としかねない状況に置かれているということを認識して、これは政府も、また私たちも、社会全体として人身売買受入れ大国日本という汚名を返上するために頑張っていくことを私も決意しながら、お願いを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
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