| 2004年6月10日(木) |
| 内閣委員会 |
| 公益通報者保護法案、国の行政運営の適正化のための公益通報に関する法律案の審査 |
 |
| 神本美恵子参議院議員(以下、神本議員) |
続きまして、民主党・新緑風会の神本美恵子でございます。
まず最初に、竹中大臣に公益通報者保護法案の基本的スタンスについてお伺いをしたいんですけれども、今日、午前中の参考人質疑から午後の質疑を通して、この法律で保護される通報対象事実も、それから通報者も、対象となる通報者ですね、それから外部通報要件も非常に限定をされて狭過ぎるのではないか、対象となる事柄がですね、というようなことが私にはたくさん聞こえてまいりました。
この限定された要件を満たさないものは、たとえそれが公益のために通報されたものであっても、国民の被害防止、被害拡大防止のためと思って通報しても保護されませんよというようなメッセージが私には聞こえてくるんですが、先ほど竹中大臣は、そうではありません、保護される対象を明確にしたんであって、それ以外のものは一般法理で保護されるものであるしというようなことをおっしゃいましたけれども、私は、この間の経過をいろいろ読ませていただいて、当初からこういう狭い範囲に限定するものを目指したのではなくて、例えば国生審の消費者政策部会報告、2003年5月に出されたもの、それから2003年12月に出された骨子案、それからこの法律案、この経緯を見てみますと、特に論点となっております、正に生じようとするというようなおそれからそういうふうに変わっている。それから、外部要件、通報要件も保護要件も非常に限定されてきているというようなその変化を見ると、やはり限定されたものになっていて、これは本当に公益のために通報した勇気あるその人たちを保護する法律を目指しているのか。そうではなくて、保護をする対象を限定して、これだけで、それ以外はだから通報を余りしない方がいいよというように受け取る私がおかしいのでしょうか。
まず大臣に、そのよって立つスタンスをお聞きしたいと思います。 |
 |
| 竹中平蔵・経済財政政策担当大臣(以下、竹中大臣) |
神本委員が今御指摘してくださったようなその範囲、要件、そういうものについては様々な御議論があるということを私も十分に承知をしております。
そもそも、こういう枠組み作りを議論をしましたときに、やはり議論をしなければいけませんでしたのは、確かに公益のために通報する方、その方が不利益を受けないようにしっかりと保護しなければいけない、それは我々の非常にはっきりとした明確な、同時に強い気持ちでございます。同時に、これは事実に反する通報がその事業者、外部等々になされることにもしなれば、これは事業者が風評被害などを受けることになる。こういうことが大きくならないような配慮も同時に必要である。やはりそのバランスを取らないと私たちの社会の自由な活動に障がいが生じかねない、そのやはりバランスを取りながらしっかりと保護していこうではないかというのがこの立法を考えるときのやはり重要な出発点でございました。
今、神本委員から例示的にお話のありました、例えば、通報対象事実が生じ、又は正に生じようとしている旨、これを対象とすることによって、例えば通報対象事実が生じる前の通報も対象に含めて被害の未然防止に資するという意見がありましたが、同時に、生ずるおそれというふうにしたのでは通報者の主観による合理的でない通報もなされてくる。それで事業者に不当な損害が発生する可能性があることも考慮しなければいけないのではないか。結果的に、正に生じようとしている場合という、通報対象事実の発生が切迫して蓋然性が高い場合にやはり限定すべきではないかというような考え方になったわけです。我々のよって立つのは、決して通報をむしろ抑える方がいいとか、そんなことはもちろんみじんも考えているわけではありません。そういう方々の内部通報によって最近の幾つかの残念な事実が明らかになっているというのは、これはもう動かせない事実でありますから、そういう勇気のある方々だけはしっかりと保護しなければいけない。
しかし同時に、冒頭申し上げましたように、事実に反する通報等々がその中に混じってきて、事業者が風評被害を受けることのないような配慮を一方でしていかなければいけない、そういうバランスを取りながら多くの人が納得できるような仕組みにしたい、そのような思いでこのような法律の議論を進めてきたわけでございます。 |
 |
| 神本議員 |
あと具体的に聞いていきたいと思うんですが、その前に、その保護することと、一方でその通報された内容が事実と反していたりして風評被害を事業者に与えたりすることとのバランスでこういうふうにしたというお話ですけれども、私は、その風評被害と、それこそこの間ずっと企業不祥事なり、そのことによって命を落としたりというような国民の被害が相次いでおりますよね。こういったものと、いわゆる経済的な自由な活動と、そういう公共の、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわることとがてんびんでこういうふうにバランスを取るものなのかなということについて、私はちょっと疑問を持ち続けながら質問をさせていただきたいと思います。
今日の午前中の参考人の方にいただいた資料の中に、これは今回のこの法案も英国の公益開示法を一つ参考にされたというふうなことが出ていますが、その資料の中にもあったんですけれども、私がなぜ最初からそういう色眼鏡でこの法案を見るかと、色眼鏡じゃない、だんだん眼鏡が曇ってきたんですが、それは、これは調査室に作っていただいた資料の一番最初の目的のところの解説として、「本法の目的は、通報をしやすくすることやいわゆる「密告」の奨励ではなく、」というふうなことがあります。そして、ずっと読んでいって最後に、「実際に公益通報が全くなかったとしても、本法の目的は達成されることになる。」、間を抜いてちょっと分かりにくいかもしれませんけれども、通報そのものを目的とするのではないと。それはもう私も分かります。
しかし、ここで、この間ずっと社会問題になってきたものが大抵内部からの告発、通報が発端になって、その原因、背景が究明されていって規制法を作ったりというような今の状況になっていますよね。そういう今の社会を見たときに、密告というこの言葉に私はどきっとしたんです。
ただ、そういうまだ社会風土なり組織の中ではチクりとか密告とか、そういう、子供の間ではチクりと言いますが、そういう風土、組織、文化といいますか、日本の、そういうものがあるのかなとも思いながらですけれども、この今朝いただいた資料の中にイギリスの公益開示法の制定などにかかわってきたNGOの事務局長のガイ・デンさんという方のお話の引用があるんですけれども、イギリスでこの公益開示法を作ったときに、作るにむけてのずっと活動の中で、沈黙以外の選択肢を根付かせるということで、私たちの経験で初めに気付いたことは、職場での危険を見付け、それに懸念を覚えた労働者には三つの選択肢がある。一つ目の選択肢は沈黙。イギリスでは沈黙は最も選択され、また容易な選択肢である。もう一つの選択肢は、問題があることを内部で社長や上司に通報すること。三つ目の選択肢は、問題を外部へ通報するというものですというふうに書かれているんですね。私たちは、人々が責任を持って問題を提起し、その問題を消費者が被害を受ける前に職場で解決するという文化を持つために努力することが公益であると信じていますというふうに書かれています。
この説明では、この中には、日本ではまだ公益という定義がないと、広辞苑からの引用が出ておりますけれども、その公益のとらえ方というものが、先ほど竹中大臣が、その企業の風評被害なり、そういう経済的な自由権とのバランスでてんびんに掛けるのかというところはこれからの議論も残ると。私としては是非議論をしていく必要があるんではないかなと思っておりますので、時間が、それについてじゃ一言、大臣。 |
 |
| 竹中大臣 |
誤解を生じるといけませんので是非私も明確に御理解を賜れればというふうに思うんですが、公益が害されているということが明らかな場合は、個人の自由な取引云々というのはもちろんそれはもう問題外、そういうことを考える必要はないわけであります。しかし、これが例えば、よく犯罪者を保護するのかというような言い方もされたことがあるんですが、もしある企業が行っていることが犯罪であり悪いことであるということが確定しているんだったら、これはもう問題にする必要がないわけでございます。これはもう法律にのっとって逮捕するなり処罰するということに尽きるわけでございます。
今、しかし私たちが問題にしているのは、本当にこれが悪いことなのかどうなのか判断ができないわけです。少なくとも、その当事者から見ると悪いと思われるから公益通報しようかどうかと考えるわけですけれども、本当にその御判断が正しいかどうかは分からないわけであります。したがって、そのような場合にその通報が風評リスクをもたらすんだと、もし、そうでない場合があり得るわけですから、そこのバランスを取らなければいけないと。そういうことを私は申し上げているんであって、例えば一方でこれはもう公益を害しているということが明らかであるならば、これは法律違反であるならば、我々が作った、多くの人が認めた法律で罰則を伴った違反であるなら、これは公益を害しているということが非常に明白なわけですから、これについてはもうきちっと通報する人が守られる、そういうことを明確にしようというのが今回の法律でございますので、決してその公益と私的な利益をバランスを掛けているということではございません。この公益が害されているかどうかということが不明確な時点で、風評リスクとのバランスをどのように取るかと、そのように是非御理解を賜りたいと思います。 |
 |
| 神本議員 |
時間が限られておりますので、具体的な問題に入っていきたいと思います。
私は今日はもう外部通報要件のみに絞って、そこに絞っていきたいと思うんですけれども、三条のところで先ほどから話題になっておりますイからホです。そこのところについて、一つずつ確かめさせていただきたいんですけれども、外部通報をするときの要件として、イからホが挙げてあります。ただ、これこのまま読んでみますと、一つ一つがどういう場合を指すのかが分からないというのが正直なところです。
それで、一つ一つ。こういう場合が、分からないから何とも言えませんが、あるの。こういう場合ってどういう場合、それって本当にあるの。全体見るとこういう場合が非常に限られたことであるとすれば、外部に出せるのは非常に針の穴を通るぐらい細いものであるというような感想をまず最初に申し上げましたけれども、例えば、通報対象事実、この法律では犯罪行為等というふうになっておりますので、その犯罪行為等の場合においては、もちろんこのイに書かれているような解雇やその他不利益な取扱い、あるいは証拠隠滅、偽造、変造のおそれという危険性は常にあると思います。ただ、公益通報の正当性が訴訟で争われた場合に、通報者はその通報の段階で、将来不利益取扱いや証拠隠滅が行われるはずであると信ずるに足る相当の理由があることを立証することは極めて困難であるというふうに考えられるんですけれども、その点はいかがでしょうか。 |
 |
| 永谷安賢・内閣府国民生活局長(以下、永谷局長) |
例えば、第三条の第三号のイでありますけれども、これは、内部あるいは行政機関への公益通報をすれば解雇その他不利益な取扱いを受けると信ずるに足りる相当の理由がある場合ということになっております。この場合に、じゃ、どういう場合が具体的に該当するのかというお尋ねだろうと思いますけれども、例えば、過去に本人でありますとかあるいはその同僚が内部、事業者内部へ通報したところ、その不利益な取扱いを受けたようなそういうような例があるというような場合を想定していただければと思います。
それから、ロの場合には、その内部に通報をした場合に証拠が隠滅され、偽造され、変造されるおそれがあると信ずるに足りる相当の理由がある場合ということであります。ロにつきましては、例えば、事業者ぐるみ、社長以下みんなが一緒になって法令違反行為をやっていると、そういうケースで、その事業者の中に、通報してもその事業者がそういう法令違反行為を是正するというのがほとんど期待できない、むしろ、証拠を隠滅するとかいうような形の行動を取るというのが予想されるというような場合であります。
これ、いずれにしても、信じるに足りる相当の理由があるということでありますので、労働者は、事業者の中に置かれたそれぞれの立場の範囲内で、正に自分に過失がなく、そういうふうに思ったということを証明すればいいだけの話であります。それが結果的に真実ではなかったという場合も、これは救済しようとしているというものであります。 |
 |
| 神本議員 |
過去に本人あるいは同僚なりがそういう事実があった、不利益扱いを受けたというような場合とおっしゃいましたが、人が、ほかの人がそういう不利益扱いを受けたということを必ずしもほかの人に言うわけではないので、そういうことを知り得るかどうかも分からないし、それから、自分は初めてこういう通報をするんだというようなとき、そのことは一つの例として挙げられましたけれども、必ずしもそういう場合があるとは思えないというのが一つと。
それから、ロの点で、組織ぐるみやトップの犯罪というようなことが証拠隠滅とかにつながるというふうな御答弁だったように聞こえたんですけれども、企業ぐるみやトップの犯罪というのが必ずしも証拠隠滅につながるとはまた限らないと思うんですが、その点はいかがですか。 |
 |
| 永谷局長 |
この通報をする人は事業者内部の労働者であります。したがいまして、一般人がこういう通報をするとかいうようなケースとは全く異なるということであります。ある程度その事業者の中での事情が分かっている人が通報するわけですから、当該法令違反行為が事業者ぐるみであるかどうかについては、当然のことながら通常の労働者であれば知り得る機会があるんではないかというふうに考えております。
その事業者内部の法令違反行為を通報しようとする労働者であれば、その労働者が通常知り得る範囲内で、組織ぐるみに該当する事実として、例えば法令違反行為の抑止策が講じられないままに継続してその法令違反行為が続いていることを示すとか、あるいはその事業者が法令違反行為を黙認しているということを立証するという形で可能ではないかというふうに思っております。 |
 |
| 神本議員 |
| いや、トップが、トップの何人かとか、社長を含めて役員の何人かでこういう法令違反行為が計画をされているとか、そういうことは事業所の中にいれば分かるといいますけれども、一般社員には分からないことの方が多いと思うんですね。そういうことは、ばらばら、あちこちで言うわけでもないですし、悪いことと知ってやっていることでしょうから、そこで、密室で行われていることを知り得ないと思うんですが、だから、そういう組織ぐるみやトップの何人かで行われようとしている、あるいは行われている法令違反行為に対して、どうしてそれを知り得るんですかね。それが当たり前のような、当たり前って、そういう場合とおっしゃいましたけれども。 |
 |
| 永谷局長 |
例えば、食品の会社でありますと、そこで作っている食品にこういう添加物は使っていけないというのは決まっているはずですよね。現にそういうものが使われているというのはその事業の中にいる労働者であればある程度分かりますよね。それから、有害物質とか何かを不法投棄するというケースを考えていただければと思いますけれども、そういうケースでありますと、いつどこにだれがその不法投棄をしているかというのはある程度は分かりますよね。
そういう事実、法令違反行為の事実があったというのを端緒に、中にいる人であればそれがその事業者、社長も結託してやっている、あるいはおっしゃる、社長もそういうことを結託してやっている、あるいは役員がそれに加担してやっている、そういうものは、何というんですかね、伝わってくるものなんじゃないでしょうか。 |
 |
| 神本議員 |
いや、それこそ、いいことは広まるでしょうけれども、そういうことというのは秘密裏にやられますから、だからこそ、そこで証拠隠滅や偽造や変造がされるおそれがあるというふうに衆議院の答弁でもされていると思うんですね。それというのは、そこにかかわっている社長や役員なら分かりますけれども、一般の労働者には知り得ないことではないかと。だから、つまり、このロで言われている、証拠が隠滅され、偽造され、変造されるおそれがあると信ずるに足りる相当の理由というのはまれな例ではないかと、そのことを労働者が知り得るというのは、ということを私は言いたかったわけです。
次に行きたいと思います。
次にハ。ハは、公益通報をしないことを正当な理由がなくて要求された場合というふうにあります。だから、するなと言われた場合ですね。これは法令違反じゃないかと知り得たその情報を持ったら、あいつは知っているなということを知った上司なり同僚なりが外に出すなというふうに言った場合がこのハだと思いますけれども、これについては、これも衆議院での答弁ですかね、答弁と、それからこのやっぱり調査室の資料の中にあるんですが、就業規則、社内規程などでそういうのが、例えば、社内規程や就業規則において、社内にヘルプラインを設置したので通報はこちらを通すこと、ヘルプラインへの通報をせずに行政機関へ通報した場合は解雇するなど、一律にこういう内部通報前置を義務付ける規定を置いた場合はこれに該当するとありますが、こういう社内規程とかあるんですかね、解雇するとか。こんな例があるのかをまずお聞きしたいと思います。 |
 |
| 永谷局長 |
そういう明らかに口止めをしているという例があるのかどうかということでありますけれども、そこは実際、具体的にそういうことがあるかどうかというのはつまびらかではないんですけれども、例えば、通報をすれば本人でありますとか家族に危害を加えるよみたいな、そういうような脅迫をするというようなケース、正に通報者にそういう意味で有言無言の心理的な圧力を加えるような行為がなされるというようなケースはあり得るんだろうと思います。
この辺りの具体的な事例につきましてもう少し実態等も調査させていただきながら、そういうような具体的な事例としてこういうものがあるよというのがあれば、その労働者に対してそういうような具体的な事例をどういうふうに証明していけばいいのか、証明していけるのかということを周知するようなことも考えていきたいというふうに思います。 |
 |
| 神本議員 |
| 有言無言のそういう圧力なりがある場合もあるということですけれども、それこそ有言無言で、じゃ、だれがそういう圧力を掛けるのか、ここでは労務提供先というふうに書いてありますけれども、社長なのか、社長からの場合がここに当たるのか、上司それから同僚、上司もいろいろいますよね、直属の上司からそうじゃないところ、それから匿名、匿名でメモが来るとか、何かそういういろんな口止め圧力があると思うんですが、これはそういう全部含むんですかね。 |
 |
| 永谷局長 |
この第三条の第三号のハでございますけれども、公益通報をしないことを正当な理由がなくて要求された場合、要求された場合というのを掲げております。これを掲げておりますのは、こういうふうな場合に事業者内部にその通報をしても法令違反の是正が期待できない、むしろその通報者が不利益な取扱いを受けることが考えられるということで、こういう規定を置かせていただいているということであります。
したがいまして、その通報をしないというのをだれが要求するのか、要求する主体でございますけれども、この法律で事業者内部の通報先となり得ますヘルプラインでありますとか相談窓口、コンプライアンス本部、そういうものに加えて、経営の責任者である社長、取締役あるいは直属の上司、それから通報事案についての責任者などが該当するものというふうに考えております。 |
 |
| 神本議員 |
| 私の質問とちょっとずれていたような気がしますが、私がお聞きしたのは、このハのところは、労務提供先から公益通報しないことを要求された場合ですよね、簡単に言えば。正当な理由なく要求された場合。その労務提供先というのは、労働者ですからその事業主、社長さんとか上司とかでしょう。だから、それは個人でいえば、会社が言うわけじゃないですから、社長さんとか上司とか直属の上司とか同僚とかいろいろあると思うんですが、そのだれから言われてもこれに当たるんですかって。 |
 |
| 永谷局長 |
| ですから、先ほども申し上げましたように、経営の責任者であります社長でありますとか取締役、それから直属の上司、通報事案の責任者などが該当すると、そういう方から言われた場合にこの規定に該当するということであります。 |
 |
| 神本議員 |
| 何かさっきNPOとかおっしゃったような気がして、えっと思ったんですが…… |
 |
| 永谷局長 |
| 言っていません。 |
 |
| 神本議員 |
違います。はい。
それで、そうすると、こういうことを今もろに社内規程に書くなんということはもちろん非常にまれ、少ないんではないかと思いますし、直接、そんなことを言うと不利益扱いするぞとか、どうなるか分からないぞとかいう、そういうことは恐らく今でも余りないと思いますが、この規定が入ることによって逆にかえって陰湿な圧力が加えられるようなことも考えられるのではないかというふうに私は懸念いたします。
それで、一番大きな問題が次のイロハニのニなんですけれども、これは内部通報した日から20日を経過しても、当該通報対象事実について、当該労務提供先から調査を行う旨の通知がない場合又は正当な理由がなくて調査を行わない場合には外部通報されるというふうな規定ですよね。この調査を行ったとした事業者から、例えば間違った調査結果を押し付けられた場合は外部通報できるんですかね。 |
 |
| 永谷局長 |
間違った調査結果というふうにおっしゃいましたけれども、その何が間違っているのかというのがよく分からないんですが、ただ、いずれにしても、これ内部の通報に関する手続であります。内部に、事業者内部に通報をして、20日たっても調査を行う旨の通知がない場合、あるいは正当な理由がなくて調査を行わない場合には外部通報できるというふうに規定しているものであります。
虚偽、誤った調査結果が通報者に届いた場合にどうするのかというようなお話でありますけれども、それがですね…… |
 |
| 神本議員 |
| 委員長、質問変えます。分かります、分からない。 |
 |
| 永谷局長 |
| いえ、そのときに、この個々の外部通報の要件に合致する通報、通報要件が備わっておれば、当然その外部通報はできるというふうに考えていただければと思います。 |
 |
| 神本議員 |
| この20日以内に調査を行うという規定になっていますので、そういうふうに通報者に返事をすればいいんですよね、これはね。調査を開始すればいい、開始すると言えばいいんだ。開始しなくてもいいんですか、20日以内に。 |
 |
| 永谷局長 |
これは20日以内に調査を行うという、その旨を通知すればいいということでありまして、20日以内に調査を開始することまでを求めてはおりません。
ただ、事業者がその調査をする旨の回答をしたにもかかわらず、その後調査を行う意思がなく放置していたような場合でありますけれども、これはそこに書いてございます正当な理由がなくて調査を行わない場合というふうに該当しますので、外部通報をできると、外部通報が保護されるということであります。 |
 |
| 神本議員 |
| そしたら、その放置しているという判断は通報者はどの時点でできるんですかね。一週間ぐらい待っても返事がない、あるいは1か月ぐらい待たなきゃいけないのか、1年待たなきゃいけないのか、そこは全然明確ではないんですが。 |
 |
| 永谷局長 |
| 個々のケースごとにどういう状況であるかというのを見ないとなかなか一概には言えないんだろうと思いますけれども、いずれにしても、これ調査を内部に通報するということは、その事業者に対して通報した事実についてそれが事実であるかどうかというのを調査して、かつそれが事実であればその是正措置を講じてくださいということを言うわけで、それをその通報に込めて申請しているということであります。したがいまして、その事業者がそれを受け取って、調査をするすると言いながら、いつまでもその調査をしないというふうなことは、当然のことながらそれは許される話ではありませんし、そういうような場合には、もちろん行政機関に通報もできますし、それから事業者の外部に通報もできますしということ、そういうような形になろうかと思います。 |
 |
| 神本議員 |
| ということは、一定期間待ってということではなくて、英国の開示法と同じように、内部通報をして、そしてなかなからちが明かないと、それはケース・バイ・ケースだというようなニュアンスですけれども、1週間待っても、このぐらいの規模の事業所では調査はそんなに掛かるはずないと通報者が判断して、もう行政機関に言ったり外部に言ったりしてもいいということなんですね。そこはハードルはそんなに高くないということですか。 |
 |
| 永谷局長 |
事業者の内部に対してその当該事業者の労働者が通報をしているわけですから、自分が通報したことを事業者側がどういうふうに取り扱っているかというのは、それはある種の、何というんでしょうか、その事業者サイドに通報者が問い合わせるとかいうような形である程度の把握というのはできるんだろうと思っております。
今日その事業者内部に通報して、どうも事業者が誠実な対応を取ってくれないから、あした外部に通報するというのは、そこはバランス、バランスというか、そこが正当な外部通報であると認定されるかどうかというのは、ちょっと個々のケースを見てみないと分からないんですけれども、ただ、いずれにしても、第三条の第三号のほかに定めるような要件を満足する、要件に合致しているような通報ということであれば、その当該外部通報は保護されるということであります。 |
 |
| 神本議員 |
| いや、ですから、ケース・バイ・ケースと言われればもう身もふたもないんですけれども、だから、じゃいろんなケースで、さっき言いましたように、内部通報したけれども、その調査の結果がなかなか報告されないし、こちらから聞いても、調査中、調査中で、このままではそれこそ危害が急迫していると通報者が判断したり、いろんな判断の仕方があるでしょうけれども、そのときは外部通報ができるということですね。イエスかノーかだけでこれはいいです。 |
 |
| 永谷局長 |
調査はしたけれども是正せずに放置しているような場合には、例えば、内部通報をすれば証拠隠滅等のおそれがあるといったような要件を満たしているということで、外部通報が保護されることになると思います。
また、たとえ20日以内にその調査を行う旨の通知がなされたとしても、その正当な理由がなくて調査を行わない場合、あるいは人の生命、身体に危害が生じ、又は急迫した危険がある場合等のほかの外部通報の要件を満たせば、外部通報が保護されるということであります。 |
 |
| 神本議員 |
| いや、ほかの要件を満たせばではなくて、この要件で、調査結果が調査中、調査中ということで1年も2年もたつとか、あるいは調査を、調査をしていると言いながら一向に改善をされない、こういう改善をしたと言いながら改善されない、あるいはその調査結果、こうだ、さっき間違ったというふうに言ったんですけれども、本当の問題はそこではなくて、例えば三菱の自動車の問題も、最初は整備不良というようなことで言っていましたよね、でも実際はそうではなかった。これは本当に携わっている技術者だったら、これはハブの問題だということが分かって言ったとすれば、そうしたら会社が言う、事業者が言う整備不良というのとは違うわけですよね。そうじゃないと思ったときは外部に言っていいのかということを、このニに当てはめて、していいのかということを言っているんです。 |
 |
| 永谷局長 |
| 通報をして、調査をしますと答えて、事業者が調査をしますというふうに答えて、実際は何らの調査をやらずにどんどんどんどん月日が流れていく、そういう場合というのは、このニの要件に書いてございます正当な理由がなくて調査を行わない場合に該当します。該当しますので、通報は、外部通報すれば保護されます。 |
 |
| 神本議員 |
分かりました。
じゃ、次にホに行きたいんですが、ホは、個人の生命又は身体に危害が発生し、又は発生する急迫した危険があると信ずるに足りる相当の理由がある場合というふうになっていますけれども、この急迫したというのが非常にちょっと分かりにくいので、具体的な事例でちょっと申し訳ないんですが、お聞きしたいんです。
六本木ヒルズの回転ドアの場合ですね。これはそれこそもう、今まだ業務上過失致死にはまだ決まっていないんですかね、そういうのは。ちょっと分かりませんけれども、例えば回転ドアの設計段階でそこに携わっている方がこれは危ないんじゃないかというふうに気付いた。それから次に、それを設置するときにこれはやっぱり危ないというふうに思った。で、その次に、もう実際に設置された回転ドアで何人もの人がぶつかり掛けたり挟まれそうになったりした、けがはしていないけれどもぶつかりそうになった段階。それから次に、実際に挟まれてけがをした。と、この前の事件、事故のように不幸にも亡くなったというような段階があると思うんですね。この段階のどの段階からが急迫した危険というふうに言えるんでしょうか。 |
 |
| 永谷局長 |
この六本木ヒルズの事件でございますけれども、現在捜査中であるというふうに理解しておりまして、そういう意味で答弁を差し控えさせていただければと思います。
それで、一般論として申し上げれば、これは先ほども申し上げたことでありますけれども、刑法上の業務上過失致死傷罪に当たるというようなケースについては、当然通報対象事実に該当することになるというふうに思います。それで、業務上の過失致死傷罪であれば、構造上の欠陥により事故が続発しているにもかかわらず安全上の措置を怠っている場合には、個人の生命又は身体に急迫した危険があるというふうに考えられます。 |
 |
| 神本議員 |
| 構造上の欠陥が分かってそのことを通報した場合は、これはこのホに当たるということなんですね。 |
 |
| 永谷局長 |
| 構造上の欠陥が明らかになって、それで事故が続発しているというようなケースの場合には、このホの要件に該当するということだろうと思います。 |
 |
| 神本議員 |
| ちょっと非常に細かいようですけれども、その事故というのは、けが人や死傷者といいますか、そういうことを言うんですか。それとも、俗にひやり・はっとと言われるような冷やりとした経験とか、そういうことがクレームとしてデパートにとか銀行に何件も出されてきたと、そういうのも事故が続発しているという判断になるんですかね。 |
 |
| 永谷局長 |
| 刑法上の業務上過失致死傷罪の構成要件に該当するということが前提であります。 |
 |
| 和田ひろ子・参議院内閣委員会委員長 |
| 神本さん、時間になっておりますので急いでお願いします。 |
 |
| 神本議員 |
結局、今私が申し上げたようなのは当たらないということですね。
で、あと、これからが本当に言いたかったことなんですが、要するにこのイからホまでというのは非常に例外的とか、そういう例は少ないとかいう部分と、それからまだまだあいまいな、ニのところなんかはあいまいなところがあると思うんですね。本当に、生命や身体、国民の生命、身体の、あるいは消費者の被害を未然防止したり、拡大防止したりするために外部通報しようとするには、この要件は、この要件だけでは非常に限定され過ぎて不十分であるということを申し上げて、午前中の参考人の方がここに一般保護要件を入れるべきだというふうにおっしゃいました、これはまた次の機会に申し上げたいと思います。
時間超過して済みませんでした。ありがとうございました。 |
 |